絵画の代作詐欺事件で起訴された歌手、趙英男(チョ・ヨンナム)被告(72)に対し、ソウル中央地裁は18日、懲役10月、執行猶予2年の有罪判決を下した。判決は「被告には絵の購入者をだます意図があった」と指摘した。
趙被告は歌手と画家の活動を並行し、自ら「画手」と名乗っている。1973年から40回以上にわたり展示会を開き、中でも人気を集めた「花札シリーズ」は1点1000万ウォン(約100万円)を超える価格で取引された。
今回の事件は、昨年画家のSさん(62)が「自分が書いた絵で趙氏が詐欺に及んでいる」と主張したことがきっかけだ。検察は趙被告が2011年9月から16年4月にかけ、Sさんら2人の代作画家が描いた絵26点を自分の作品として20人に販売し、1億8000万ウォンの収入を得たとして起訴された。検察によると、趙被告はSさんに絵画1点当たり10万ウォンを払い、約200点を製作してもらい、簡単な仕上げやサインをしただけで、展示会に出品していたという。
趙被告は裁判で「Sさんらは絵画製作を助ける『助手』にすぎず、アイデアは自分が出しており、自分の作品だ」「(米ポップアートの巨匠である)アンディ・ウォーホルなどの芸術家も助手を使っており、それは現代美術の流れであり潮流だ」とし、「自分が世界的な美術家かどうかは、世界的美術家が集う光州ビエンナーレに招かれた事実で判断してもらいたい」などと主張した。