総勢61人のSMTOWN LIVE、まるで「K-POP王朝実録」

総勢61人のSMTOWN LIVE、まるで「K-POP王朝実録」

 大雨警報も、K-POPの熱気を冷やすことはできなかった。7月8日、一日中雨がぱらつく中、午後6時からソウル・ワールドカップ競技場で「SMTOWN LIVE WORLD TOUR VI in SEOUL」が行われた。韓国・中国・日本のファンはもちろん、ヘジャブをかぶった女性ファンに至るまで、およそ4万5000人が詰めかけた。昨年ワーキングホリデーで韓国を訪れた25歳の英国人女性は、流ちょうな韓国語で「EXOの歌には西洋と韓国の趣が絶妙に混じっていて魅力的」と語った。渋滞で周囲の道路がひどく混雑すると、ファンは近くの停留所でバスを降り、EXOを象徴する白いペンライトを手に会場まで走った。


 2008年に始まり、今年で10年目を迎えた「SMTOWN LIVE WORLD TOUR」は、アイドルグループではなく事務所の名前を前面に押し出した「ブランド公演」の嚆矢に当たる。とりわけ11年6月、フランス・パリでチケットが売り切れとなった公演は、翌年のPSY(サイ)の「江南スタイル」ヒットと共に、韓流ブーム拡大の決定的な契機に挙げられる。今年も東京・大阪で計5公演行われる。また、下半期の東南アジア公演も予定されている。最近はBIGBANGのG-DRAGON、EXO、防弾少年団などがそれぞれワールドツアーに乗り出し、K-POPのすそ野が広がった。

 この日はKANGTAやBoA、東方神起のユンホ、SUPER JUNIOR、SHINee、EXO、Red Velvet、NCTなどSMエンターテインメント所属のアイドルスター総勢61人が公演を繰り広げた。白(EXO)や緑(SHINee)、アプリコットカラー(Red Velvet)、ライトグリーン(NCT)など、アイドルグループを象徴するさまざまな色のペンライトを持って区画ごとに分かれて座ったファンの様子は、巨大なモザイク画を連想させた。競技場の半分以上が白い波を作り出すくらい、EXOのファンが過半数を占めたという点も異彩を放った。大衆音楽担当のキム・チャンヒョン記者は「応援するグループは違うが事務所はみんな同じという点で、『アイドル士官学校』SMエンターテインメントの運動会のようなもの」と語った。アイドルグループの変遷に詳しいチェ・ボユン記者は「H.O.TとSechs Kiesの全盛期だった20年前はファンが風船を持っていたが、今ではグループごとに色が違うLED(発光ダイオード)のペンライトを揺らしているところに、グッズの進化が感じられる」と語った。

 歌唱力のある歌手たちのソロやデュエットのステージを「オードブル」として出し、次いでSUPER JUNIORや少女時代、SHINee、EXOなど人気グループの公演を「メーンデッシュ」のように構成した。4時間半にわたる公演は、水が流れるようにすんなり進行した。アイドルの公演は初めてというパク・サンヒョン記者は「H.O.T.のKANGTAからSUPER JUNIOR、少女時代を経てEXOに至る出演陣は、『K-POPの朝鮮王朝実録』を連想させた。先輩グループが後輩たちに『王座』だけ譲っているのかもしれない」と語った。

 情熱的なダンスと非の打ちどころのない歌唱力で「ライブのマエストロ」と呼ばれるSHINeeのステージには、記者3人が一斉にサムズアップ(親指を上げるジャスチャー)した。パク・サンヒョン記者は「アイドルに対して偏見がある人も、いざこの公演を見たらファンにならざるを得ないほど輝いていた」と語った。この日の公演でSHINeeは、7月3日に米国のバラク・オバマ前大統領が本紙主催のアジア・リーダーシップ・カンファレンス(ALC)に出席し「米国の若者がSHINeeのことを知りたくて韓国語を学んでいる」と発言したことを紹介。SHINeeは「K-POPが世界で愛されているという証」と語った。

 フィナーレでは所属アーティスト61人全員がステージに上がり、H.O.T.の1998年のヒット曲「光」を共に歌った。「いつも一緒にいて/大切なことが分からなかったんだ/いつも僕と一緒にいてくれる/大切な人たちを…」で始まる歌詞を、4万5000人のファンも合唱した。この光景を見守った3人の記者は「生き生きとしていてすがすがしい10代から20代のころにデビューして、ファンと一緒に年を重ね、思い出を共有することこそ、アイドル産業の本質のようだ」と語った。

キム・ソンヒョン記者
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