北村を甦らせた李明博、南村の再生を目指す朴元淳

 朝鮮王朝時代、漢陽(現ソウル)の貧しい学者たちが暮らしていたエリア、日本による植民地時代、京城(現ソウル)で日本人が多く暮らしていたエリア、日本による植民地支配からの解放後、退廃的欲望の噴出口だったソウル・南村が生まれ変わる。南村一帯は1980年代以降、なかなか開発や整備の手が入らなかった。

 北村や西村に比べ、疎外されてきた南村一帯(50万5736平方メートル)を観光地として整備する、とソウル市が6月7日発表した。市は南村を、北村韓屋(韓国の伝統家屋)村のように歴史が息づく観光地にする計画だという。北村の再生は、李明博(イ・ミョンバク)元市長が手掛けた重点事業の一つだった。李元市長は2006年、北村を伝統文化が生きている歴史文化ベルトにするという、北村長期発展構想を発表。今や観光スポットとして定着した北村韓屋村の本格的な第一歩だった。今回は「朴元淳(パク・ウォンスン)のソウル市」が南村に挑戦状を突きつけた。

◆遊郭があった場所を公園に

北村を甦らせた李明博、南村の再生を目指す朴元淳

 市は2018年までに158億ウォン(約15億8000万円)を投じ、日本人が建てた敵産家屋、50年以上たっている古い建物80棟の補修を行う。築47年の会賢市民アパートは、芸術家の住居空間としてリモデリングする。ソウル駅高架公園「ソウル路7017」へと続く歩道も造成する。南村の再生は、市が2015年からソウル駅一帯、中林洞、西界洞、南大門市場など五つのエリア(195万平方メートル)に分けて推進しているソウル駅一帯都市再生事業の一環だ。

 現ウリ銀行本店前にあるイチョウの木は、樹齢500年を超える。朝鮮第11代国王・中宗の時代に最高の中央官職・領議政を務めた鄭光弼(チョン・グァンピル)をはじめ政丞(領議政・左議政・右議政)12人を輩出した名家、東莱鄭氏の誇りを象徴している。市は、木の周辺(4779平方メートル)を広場とし、イチョウ祭りなど地域のイベントを開催する空間として活用する予定。区の敬老堂(高齢者福祉施設)=2018年に移転予定=がある画家・金弘道(キム・ホンド)の師・姜世晃(カン・セファン)の屋敷跡には、姜世晃記念館(267平方メートル)と歴史公園(120平方メートル)を新たに建設する。

 南村に密集している古い建物80棟の保存修理工事も行う。南村には現在、朝鮮王朝時代の韓屋3棟、日本式家屋67棟、1969-90年代に建てられた建築物10棟などがある。住民らが外観を維持したまま修理できるよう、市は最高1億ウォン(約1000万円)を低金利(0.7%)で融資することを決めた。住民支援施設には新たにオープンする南村伝統酒店が入る。1970年代に竣工した会賢市民アパート(352世帯)は芸術家向けの長期賃貸アパートになる。長い間放置されていた南山の一部(1万7872平方メートル)には散策路を設け、子どもたちのための生態森林公園を建設することにした。

◆ソウル駅高架公園-南山を歩く

 南村の5大拠点を結ぶ全長1906メートルの歩道5カ所もできる。ソウル路と南村西部を結ぶ歩道2カ所と南村内部をめぐる歩道3カ所に分けられる。ソウル路につながる歩道は南大門市場から白凡広場までを結ぶ素月路(350メートル)と、会賢駅と南山を結ぶ退渓路2キル(250メートル)の2カ所。残りの歩道はイチョウの木、市民アパート、姜世晃の屋敷跡などを結ぶ道として造成される。市はこれらの内容を含むソウル駅一帯都市再生活性化計画の樹立を6月末までに完了し、さまざまな意見を反映した上で12月に告示する予定。

 市はすでに始めている南山再生事業、南山アニメタウン事業、南山歴史探訪路事業と連携し、2019年までに南山一帯を新たに整備する。ノ・ギョンレ・ソウル駅再生事業チーム長は「疎外されていた南村が生まれ変われば、ソウル駅一帯の流動人口も大幅に増えるものとみられる。開発が立ち後れていた西界洞・万里洞・中林洞など近隣地域も自然と活気を取り戻すだろう」と語った。

チャン・ヒョンテ記者
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