韓国で今、手作りビールを楽しむ人が増加

 「この原液ではメキシコのビール、コロナのようなラガースタイルのものを作ってみましょう」

 5月26日午後7時ごろ、ソウル市内のデパートの文化センターで行われた「家でクラフトビール作り」と題する授業に参加した男女9人が、講師の指示に従って、洗っておいた透明なプラスチック容器にビールの原液を注いだ。室内にはあっという間にビールの香りが広がった。受講生たちはプラスチック製の発酵容器に熱湯23リットル、ビール原液、砂糖を入れ、30分ほど混ぜた。材料がよく混ざり、温度が21-27度まで下がったころ、ビール酵母を入れ、ふたをしてビール製造過程は終わった。

 このビールは1週間ほど発酵させた後、アルコール度数を計算し、瓶に移す。このとき炭酸を入れるのだが、その際、炭酸の強さを調節することができる。その後、それぞれ好みによって日陰や冷蔵庫で保管し、2、3週間熟成させればでき上がり。

 受講生たちはこの日、3人1組となり、ラガー、エール、スタウトの各ビールをつくった。クラフトビール製造セット一つで20リットルほどのビールを作るのだが、材料を取り出し、容器を洗って準備する過程を含め、完成まで1時間30分ほどしかかからなかった。モルトとホップを混ぜて作る原液が前もって缶詰状態にされているため、正統技法にこだわった方式に比べ、4、5時間早くできる。

韓国で今、手作りビールを楽しむ人が増加

 受講生たちは短時間でビールができる過程を目にし、不思議で面白い、といった反応を見せた。授業に参加した会社員ソン・ウリさん(30)は「ビール工房でビールを作った経験はあるが、ビールキットを使って家でクラフトビールが作れるというので、その方法を学ぶため申請した。思ったより短い時間で簡単にビールを作ることができ、不思議」と語った。授業を行ったキム・ヒジョン・クーパーズ・ブランド・マネージャーは「20-30代だけでなく、ビールに関心のある中高年もたくさん、授業の申請をしている。家庭でDIY(Do It Yourselfの略)で個人醸造場を設けることができるので人気」と話した。

 このようにクラフトビール作りはさほど難しくないため、自分の好みに合うビールを作って飲む人が増えている。10万ウォン(約1万円)ほどでビールキットを購入して家で作ったり、ビール工房を訪れ、好みに合ったモルトやホップなどを選んで作るなどしている。ソウル市松坡区のアイホーム・ビール工房では「週末だけでなく、平日夜にも5、6人単位で授業を申請するケースが増えている。前もって作っておいたビール原液を使った熟成製造授業のほか、モルトをロースティングする過程から始め、全作業を体験する授業も人気が高い」と話している。

 自家製ビールを作るために必要な商品の売り上げも大幅に増えている。インターネット・ショッピング・サイト「Gマーケット」で販売されているクラフトビール製造器、酵母、砂糖などの売上額は、2016年には前年比621%増。今年初めから5月末までを見ると、前年同期比278%増加した。Gマーケットの関係者は「さまざまな味や香りを楽しめるクラフトビールを作る消費者が増えている。特に一人飲みを楽しむ人たちが、夏を前にたくさん(関連商品を)購入しているようだ」と語った。2年前からクラフトビールを作っているという会社員チョ・ヨンジェさん(26)は「ビールキットを使ってビールを作るのはとても簡単。レシピ通りに作れば、初心者でもさまざまなスタイルのビールを作ることができる」と話した。

イ・ジョング記者
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