景福宮、昌徳宮、昌慶宮、徳寿宮…。朝鮮王朝500年の歴史が宿る王宮がいくつもあるソウルは、まさに生きた歴史都市だ。春から夏にかけては花や緑が、秋には紅葉が王宮を美しく彩る。そして冬には真っ白な雪が王宮の塀に積もる。まるで1枚の絵のようだ。
絵は少し離れたところから見ることで、きちんと趣を感じられる。そんな王宮の四季を気軽に楽しめるレストランやカフェがある。食事をしながら壮大な王宮の景色を眺めていると、ソウルがどれほどすてきな都市なのか、あらため気づく。
ソウル市鍾路区苑西洞の「ダイニング・イン・スペース」は、建物が全面ガラス張りになっているフランス料理店だ。5階にある店内からは昌徳宮が見渡せる。韓服(韓国の伝統衣装)を着た少女たち、王宮を散策する人たちの姿が見える。昌徳宮と周辺にあるビルを眺めていると、過去と現在が共存しているようだ。9席しかないため、予約が必須。食事はコースで提供される。昌徳宮が見える方向は、3週間前に予約しなければ座れないほどだ。ランチ5コース5万ウォン(約5000円)、ディナー8コース10万ウォン(約1万円)。コース料理は少しきついという人は、同じビルにある別の店に行ってもよい。4階は日本料理店「Jタパス・イン・スペース」、3階はイタリア料理店「ブラッスリー・イン・スペース」、2階はコーヒーショップになっている。眺める位置が異なるだけで、どの店からも昌徳宮が見える。
鍾路区苑南洞にある「オー・ローリー・デー」は、宗廟近くにある工場だった建物を改造したカフェだ。石垣がよく見えるよう窓を大きくしたほか、宗廟内部を眺められるよう屋上を拡張し、テラスにした。パク・シンフ代表は「季節ごとに異なる印象を与える宗廟の風景が、カフェのインテリアの一部というわけだ」と話している。また、同店は「リュ・ジョンヨル・カフェ」とも呼ばれる。俳優リュ・ジョンヨルがドラマ『応答せよ1988』で名前が知られるようになる前、ここでたびたび仕事を手伝っていたという。鍾路区通義洞にある「クイーン・シーバ」や「メタファー」では、景福宮の石垣を眺めながらコーヒーを味わえる。