甘ったるい味に飽きたのだろうか。スーパーマーケットのお菓子売り場で陳列台を占めていた甘い商品が影をひそめ、ほろ苦い味の商品が人気を集めている。はちみつ味、バナナ味に続き、最近は抹茶味のお菓子が主流をなしている。
抹茶味のお菓子が本格的に増え始めたのは少し前。オリオンは昨年10月に抹茶味のブラウニーを発売したほか、翌11月に発売した緑茶味の「チョコパイ情」が1カ月で1000万個売れた。ロッテ製菓の「ドリームカカオ・グリーンティー」「カスタード・グリンティーラテ」「もち米餅パイ緑茶」、ヘッテ製菓の「オーイエス緑茶」も昨年下半期に登場した。
深みのある味を出すために一般的な緑茶ではなく、抹茶を使っているお菓子も多い。抹茶は緑茶に比べ味が濃く、日本などで人気が高い。オリオンでチョコパイを担当するキム・ヒョウン課長は「緑茶が好きな消費者ほど、濃い味を好む傾向がはっきりしているため、チョコパイに抹茶を使用している」と語った。
製菓業界では、甘い味に飽きた消費者たちが新しい味を求めていると見ている。昨年上半期に最も人気を集めたお菓子の味はバナナで、その前は「ハニーバターチップ」をはじめはちみつ味のお菓子が人気だった。最近では、ただ甘いだけでなく、最後にほろ苦さを感じられるようなお菓子を好む人が増え、チョコレートに抹茶を加えたお菓子などが続々登場している。
消費者たちが以前に比べ抹茶味に慣れてきたのも原因の一つ。数年前にも抹茶味のお菓子やアイスクリームが次々と発売されたが、「お茶は煎じて飲むもの」という認識が強く、それほど注目を集めることはなかった。ところが最近、抹茶味のドリンクやデザートが増え、若い層を中心に抹茶味があらためて評価されているというわけだ。
例えばスターバックスコーヒー・コリアが昨年9月に発売した「TEAVANA」は、抹茶ブームに乗り、十日で100万杯以上売れた。全8種類のドリンクのうち、抹茶とコーヒー、牛乳で作った「ショット・グリーンティー・ラテ」が50万杯で半分を占めた。EJベーキングスタジオのイ・ウンジョン・シェフは「抹茶と牛乳を合わせると、抹茶特有の渋みが減り、牛乳のほのかな甘みが生きる。抹茶は健康食品というイメージがあるほか、視覚的にも鮮明な緑色を出すことができるので、デザートによく活用されている」と語った。
韓国国内の緑茶生産と消費の不均衡に原因があるという意見もある。料理評論家のカン・ジヨンさんは「韓国は日本や中国のように茶道を楽しむ国ではない。韓国国内の緑茶生産は増えているが、消費がそれに追いつかず、お菓子などに活用する道を見いだそうというもの」と話している。