SF、アクション、ロマンス…今年のカンヌで輝いた韓国映画

ホン・サンス監督『その後』、公開と共に大好評
ミッドナイト・スクリーニング部門『悪女』、観客の歓声と拍手あふれる
ポン・ジュノ監督『オクジャ』にも熱い関心

SF、アクション、ロマンス…今年のカンヌで輝いた韓国映画

  5月22日午前11時(現地時間)、カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品されたホン・サンス監督(56)監督の新作『その後(The Day After)』が初公開されるメディア試写会の会場となった「パレ・デ・フェスティバル」3階の劇場前。遅れて到着した記者数人が、息を弾ませつつ引き返していった。280ある座席は全て、始まる前からぎっしりだったからだ。ここは、「パレ・デ・フェスティバル」内にいくつかある劇場の中では小さい方ではあるが、座席が足りなくなるほどの状況になることはあまりない。それほどに、ホン監督の新作『その後』に対する世界のメディアや評論家の関心は高かった。フランスの映画専門誌『ポジティフ』などに寄稿している映画評論家ユベール・ニオグレは、試写会終了後「ファンタスティック。これまで見たコンペ部門の作品の中では最高」と語った。

SF、アクション、ロマンス…今年のカンヌで輝いた韓国映画

■ホン・サンス監督『その後』、意外な好評

 『その後』は、『あなた自身とあなたのこと』『On the Beach at Night Alone』など最近のホン監督の作品にみられるように、女優キム・ミニが出演する不倫の物語だ。一緒に仕事をしていた女性社員(キム・セビョク)と恋をして、別れた後も苦しんでいる、出版社の社長にして名うての文学評論家「ポンワン」(クォン・ヘヒョ)。いつも夜勤をしているポンワンが仕事に出掛けている間に、妻が、詩を書くように愛の告白をしてきた夫のラブレターを持って出版社を訪れた。ポンワンと付き合っていた女性社員は、既に会社を辞めていた。最初に出勤してきた作家志望の女性社員「アルム」(キム・ミニ)が、不倫相手だと誤解され、妻からひどい目に遭わされた。さらに、優柔不断なうそつきのポンワンは、元恋人が「戻りたい」と言うやアルムに会社を辞めるよう勧め……。このドタバタの結末はどこにあるのだろう。

 5月21日に上映された『クレアのカメラ』で、フランス人女優イザベル・ユベールを出演させたことでも好評を博したホン・サンス監督が、翌22日の『その後』では意外な反転をしてのけたという雰囲気だ。キャラクターやせりふ、ストーリーはずっと繊細で、実体と信頼を論じるホン監督独特の哲学的なせりふも生きている、と評されている。海外の評論家にも映画祭でも好評な唯一の監督なだけに、今年のカンヌでも集中的にスポットライトを浴びることになる公算が高い。

■カンヌの夜を沸かせた本格アクション『悪女』

 今年のカンヌでは、いつになく韓国映画が大いに注目と期待を集めている。5月21日午前0時30分には、ミッドナイト・スクリーニング部門に招待された韓国映画『悪女』(チョン・ビョンギル監督)がシアターリュミエールで初公開された。オープニングから、がっしりした数百人もの男を一人また一人と倒し、死体の山を登るかのようになんとか前へと進む一人の女性の後ろ姿が観客を魅了した。主人公一人称視点のコンピューターゲームのように、スクリーンの中へ吸い込まれたかのような印象があった。およそ5分も続いたアクションシーンが終わると、歓声と拍手で劇場は一杯になった。『悪女』が招待されたミッドナイト・スクリーニング部門では、夜ふさわしいホラー、アクション、スリラーといったジャンルの映画が主に上映される。同じく韓国映画の『不汗党:悪いやつらの世界(The Merciless)』も、5月24日にこの部門で上映される。

 今年のカンヌには、5本の韓国映画が公式に招待された。SF、アクション、ロマンスなどジャンルやカラーもさまざまで、今年のカンヌを豊かに彩る主人公として遇されている。韓米共同制作の映画『オクジャ』(ポン・ジュノ監督)は、コメディ・アクション・SFなどの要素が入り混じった混成ジャンルの映画で、映画祭開催当初から熱い関心を集めた。今年でカンヌ出席20回目という映画評論家のチョン・チャンイルは「外国の映画祭で、中国の映画はそのまま『駐豪映画』、日本の映画はそのまま『日本映画』のように見られるが、韓国は作品ごとに性格がどれも違う。韓国のように、作品ごとに多様なカラーを打ち出す国は珍しい」と語った。

カンヌ=イ・テフン記者
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c)Chosunonline.com>
関連ニュース