ソウル都心で歴史と伝統を感じられる場所、北村韓屋村

 景福宮と昌徳宮の間に北村韓屋(韓国の伝統家屋)村がある。北村は、清渓川と鐘閣の北側にある村ということで、そう名付けられた。ここは朝鮮王朝時代、高官たちが居住していたエリアで、景色がいい上、宮廷から近くて住みやすかった。北村が現在のような小ぢんまりとした都市型韓屋として定着したのには、1920年代に建陽社という住宅開発企業を営んでいた鄭世権(チョン・セグォン)氏が大きな役割を果たした。同氏は北村の土地を購入し、中産階級や庶民らのために小さくて暮らしやすい改良韓屋を建設し、分譲した。そのおかげで、北村は伝統を引き継ぎながら生き残ることができた。

ソウル都心で歴史と伝統を感じられる場所、北村韓屋村

 北村の名所を一つにまとめたコースが「北村八景」だ。北村1景は昌徳宮全景、2景は苑西洞の工房通り、3景は嘉会洞11番地一帯、4景は嘉会洞31番地の丘(北村展望台)、5景は嘉会洞の路地(下り坂)、6景は嘉会洞の路地(上り坂)、7景は嘉会洞31番地付近、8景は三清洞の石段だ。

ソウル都心で歴史と伝統を感じられる場所、北村韓屋村

 地下鉄3号線安国駅の近くにある北村文化センターは、北村散策のベースキャンプだ。北村の歴史やさまざまな観光情報を得ることができる。ただし、北村をめぐるとき、注意すべきことがある。そこで暮らしている住民がいるため、騒がず静かに散策するのが礼儀だ。

ソウル都心で歴史と伝統を感じられる場所、北村韓屋村

 北村八景の散策が終わったら、三清洞や感古堂通りを過ぎ、仁寺洞まで歩いてみよう。オススメなのが、三清洞と景福宮が一望できる北村路5ナギル。中間くらいにある銭湯の煙突が道しるべとなる。おしゃれなカフェや商店が並ぶ三清洞のカフェ通りを過ぎると、正読図書館の前に出る。ここから道を渡れば、感古堂通りだ。

ソウル都心で歴史と伝統を感じられる場所、北村韓屋村

 感古堂は、朝鮮第19代王・粛宗が仁顕王后の両親のために建てた家。仁顕王后が廃位された後にここで暮らしたほか、1866年に明成皇后(日本での呼称:閔妃)が王妃となるまで暮らしていた場所だ。明成皇后が仁顕王后のことを思いながら感古堂と名付けたという。感古堂は現在、京畿道驪州市にある明成皇后の生家のそばに移転・復元された。

ソウル都心で歴史と伝統を感じられる場所、北村韓屋村

 感古堂通りが終わる栗谷路から道を渡ると、仁寺洞にたどり着く。仁寺洞の骨董品通りは、没落した北村の高官たちが骨董品を売りに出していたことから生じた。たそがれの仁寺洞で路地に入ると、お茶の香りがほんのり漂い、お腹が空いてくる。食堂を探しながら北村散策を終えよう。

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