インタビュー:『ボイス』主演イ・ハナ、「代表作」にもなる初の刑事物

最終回を迎えたOCN『ボイス』

インタビュー:『ボイス』主演イ・ハナ、「代表作」にもなる初の刑事物

「今日は『涙注意報』が出ましたね。ドラマが終わって残念で、毎日泣いてます」

 イ・ハナ(34)は、今にも泣きだしそうだった。ドラマ『ボイス』(OCN)が3月12日に最終回を迎え、視聴率5.6%(ニールセン・コリア調べ)で幕を下ろしたからだ。「ウンヒョン洞殺人事件」の真犯人を追うこの番組で、イ・ハナは112番(110番に相当)通報センターの「ゴールデンタイムチーム」のチーフ、「カン・グォンジュ」を演じた。

 番組でカン・グォンジュは、冷静沈着な対応で一触即発の殺人・傷害事件をてきぱきと解決する。幼いころに目を傷めせいで発達した「聴覚」を武器に、受話器の向こうから聞こえてくる小さな現場の音までとらえ、捜査を陣頭指揮する。刑事ものは初めてというイ・ハナは「撮影1カ月前から新聞を毎日精読して、警察の事件を調べた。体力と度胸を養おうと、登山もさぼらずにやった」と語った。

 2006年に『恋愛時代』(SBS)でデビューし、翌年『メリー&テグ 恋のから騒ぎ』(MBC)で新人賞を受賞したイ・ハナだが、その後出演した10本余りの正統ドラマでは、これといった印象を残すことができなかった。『ボイス』は、浮沈を味わったイ・ハナに「代表作」のタイトルを届けた一作。3月16日にソウル・新沙洞のカフェで対面したイ・ハナは「撮影中、ずっとカン・グォンジュにすっかりなりきって暮らしていた」と語った。

「作品に出演すると、いつも『序盤が弱い』という評価を受けます。キャラクターを完全にこなすのに時間がかかる、という意味ですね。実際これまでの出演作は、主にほかの女優にまずキャスティング提案が行っていたのが、私に来たので、いつもぎりぎりになってから撮影入りしていました。『ボイス』は違います。キャスティングが早々と確定して、配役に同化する時間的な余裕がありました。デビューして初めてもらった『正規職』でしょうね」

 イ・ハナは、先輩俳優イ・ヨンニョと取調室で一対一で向き合う場面を撮っていて「恥ずかしさを感じた」と語った。イ・ヨンニョは、再開発地域で業者の脅迫に逆らえず、借家人を追い出そうとする不動産オーナー「シム・チュンオク」を演じた。「台本の練習のとき、先輩には香りがありました。でも撮影現場で『シム・チュンオク』に扮した先輩と向き合って座ると、『おばあちゃんの匂い』がするんです。身なりから香りまで、配役に合わせて準備しておられたんです」。この場面を撮影して、イ・ハナは「俳優から認められる俳優になろう、という目標が生まれた」と語った。

 『ボイス』は、わいろと請託でめちゃくちゃになった公権力に一撃を加えることで、正義に対する視聴者の渇望を解消した。「ウンヒョン洞殺人事件」の真犯人だった財閥のモ・テグ(キム・ジェウク)から裏金を受け取っていた警察庁長(チョ・ヨンジン)が、捜査網を狭めてくる「ゴールデンタイムチーム」を解散させようとしたとき、カン・グォンジュが一撃を加える場面は、同番組の白眉だ。「侮られていると感じたカン・グォンジュが言うんです、『悪いやつをつかまえるのが警察』って。このドラマの成果は『罪を犯したら償いをする』という簡単明瞭なメッセージをうまく伝えたということではないでしょうか」。

パク・サンヒョン記者
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