ソウル市永登浦区大林洞は、日雇い労働や食堂での仕事をするため韓国にやって来た朝鮮族や中国人が数十年前から集まって暮らしてきたエリアだ。ここはソウルの代表的な貧民街の一つだったが、最近では国内に居住する中国人たちにとって明洞や江南に劣らぬ繁華街となっている。
特に大林2洞の地下鉄大林駅8番出口と12番出口の間にある200メートルほどの通りは、平日の夜や週末になると、中国人や朝鮮族が大勢押し寄せる。彼らは本場の中国料理を味わえる食堂や、中国の大衆歌謡が歌えるカラオケなどに集まる。大林駅近くの中央市場で会った宅配業者キムさん(45)は「週末になると、結婚式や誕生パーティーを終えた中国人たちが数十人規模で近くの食堂に押し寄せ、3次会、4次会まで楽しんでいる」と語った。
このエリアに注目が集まるようになったのは、中国人や朝鮮族の流入人口が多いからだ。大林洞内でも特ににぎやかな大林2洞の住民(2万4461人)のうち40%(9874人)が中華圏の人たちだ。2012年以降、法務部(省に相当)が在外同胞のうち大学卒業者、企業代表、資格保持者らに拡大発給した「在外同胞ビザ(F4)」も、人口増加に影響を与えたものとみられる。
最近では「ソウルの中のリトル・チャイナ」と言える大林洞を訪れ、中国文化を体験する韓国人も増えている。火鍋がおいしい店として口コミで広まったある食堂では、およそ20あるテーブルの半分ほどを韓国人客が埋めているという。
大林洞の中国語学校に通うキム・ギョンアさん(53)は「大林洞の食堂で中国料理を食べ、中国の食品などを扱うスーパーで買い物したりしながら、中国語の練習をしている」と語った。