「食べっぷり」が良さがカギとなるインスタントラーメンのCMは男性タレントの独壇場だ。だが、酒類のCMは種類によってタレントの性別が違う。だいたいの場合、焼酎のCMには女性タレントが、ビールのCMには男性タレントが起用される。
男女タレントを代表する人気スター、俳優ソン・ジュンギ(30)と女性アイドルグループAOAのソリョン(21)がリオ五輪期間中に売上増が見込まれているビール市場で競い合っている。ドラマ『太陽の末裔(まつえい)』で一躍韓流スターになったソン・ジュンギは酒類メーカー「ハイト真露」のビール「hite」のCMモデルになった。ロッテ酒類もソリョンをビール「kloud」のCMモデルに起用した。
国民の健康増進という観点から政府が酒類の消費を抑える方向で規制を強化している中、各酒類メーカーは人気スターを起用して消費者心理をとらえようとしているのだ。
女性タレントのソリョンがビールのCMモデルになったのは異例のことだ。ある広告業界関係者は「焼酎は男性消費者がターゲットなのでとにかく美しくてセクシーな女性タレントをCMに出さなければならない。逆にビールは女性消費者もよく飲むし、買い物の時も女性が選ぶ場合が多いので、どの男性タレントがCMモデルをするかによって売上が左右される」と説明する。「プレミアムビール」が「売り」のkloudは、ハ・ジョンウやイ・ジョンジェら男性一色のビールCM市場で女性タレントをモデルに起用して差別化を図り、効果を挙げている。「ソリョン起用はその前にモデルを務めていた女優チョン・ジヒョンの高級イメージ路線に加え、明るさやフレッシュさをプラスしたもの」と見られている。
酒類市場でスター・マーケティングが主流になって久しい。焼酎の場合、人気歌手IU(アイユー)がハイト真露の焼酎「チャミスル」を、女優シン・ミナがロッテ酒類の焼酎「チョウムチョロム(初めてのように、の意)」のCMに出演している。ロッテ酒類はまもなく契約期間が満了するシン・ミナの後任選びに入った。ソリョンに匹敵する新たなスターを探しているのだ。
地方の酒類メーカー「宝海醸造」は女性アイドルグループGirl’s Dayと、「舞鶴焼酎」は女優パク・ボヨンをCMモデルに起用した。
国民健康増進法に基づき、朝7時から夜10時まではテレビでの酒類のCM放映が禁止されており、ラジオ・バス・地下鉄でも酒類のCMが制限される。こうした流れを受けて、短い露出時間で最大のCM効果を期待し、スター・マーケティングが好まれる傾向がますます強まっている。