【北京聯合ニュース】米国の最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD、サード)」の在韓米軍配備をめぐり、中国が自国のメディアを総動員して反対世論をあおっている。
THAADの韓国配備により韓中の友好関係が損なわれ韓流スターが犠牲になっても中国に責任はないとの論評も出ている。一部では世論調査やうわさを通じ「韓流」を「寒流」に変化させようとする動きも出始めている。
◇ 中国メディアが「韓流への打撃」を直接言及
中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報(電子版)は4日、社説で「THAADによる中韓関係の冷え込みは韓国芸能産業の低迷を触発する。中国での韓流スターの活動制限について韓国が責任を負うべきだ」と主張した。
環球時報は、韓国にとって中国はバラエティー番組分野の世界最大市場であると強調しながら、「韓国がTHAAD配備を強行し、中韓の政治関係の緊張につながれば、中国内の韓流はやがて激しく損なわれるだろう」と警告した。
人民日報も4日、THAADに関する4度目のコラムを掲載し、韓米は中国、ロシアの警告を無視しTHAADを配備した場合の悪影響に対する責任を取らなければならいと警告した。
◇うわさや合成画像も広まる
中国では主に交流サイト(SNS)などインターネットを通じ嫌韓が広まっている。
中国版ツイッター「新浪微博」の世論調査では、最近のような状況で中国政府が韓国人芸能人の出演を禁止する場合は支持するとの回答が86%を超えた。
この調査には28万人が参加し、書き込みだけで11万件に達した。環球時報の英語版、グローバル・タイムズは、中国の多くのネットユーザーがTHAADの韓国配備について非難しながら「エンターテインメントよりも愛国心が先」との立場を示したと伝えた。また、THAADの韓国配備決定後、人気ガールズグループの少女時代が所属するSMエンタテインメントなど、韓国の大手芸能事務所の株価が急落したことも報じた。
このほか、「中国国営中央テレビが9月から韓国の芸能人が出演する番組の放送を禁止すると報じた」という内容のうわさに関する画像が中国のネットユーザーの間で広まっている。
この画像は中央テレビのニュース専門チャンネルの番組の静止画で、中国国家新聞出版広電総局が9月1日から韓国人芸能人が出演する番組の放送を禁止するとの字幕が表示されている。
広電総局は中国の全てのテレビ、ラジオ、新聞、出版を管轄する機関。画像には、広電総局が中国の衛星放送における韓国人芸能人の出演を制限すべきだとの新規の規定を発表したという内容も書かれている。
しかし、聯合ニュースが4日、この画像に写っている番組の内容を確認した結果、うわさが事実ではないことが分かった。
中国メディアの報道によると、広電総局は韓国人芸能人の出演禁止に関する公式の文書を配布したことはなく、韓国人芸能人の番組出演も一部で支障があるものの大半は正常に行われている。
中国で報道を装った合成画像まで出回っているのは、THAADの韓国配備決定に対する不満を高めようとの意図があるとみられる。
北京の消息筋は「広電総局が公式に発表した内容はないと承知している。現在、中国のインターネット上でさまざまなうわさが流れているが惑わされないことが重要だ」と話している。