近ごろの韓ドラ、主役に「超能力」は当たり前?

予知能力・動体視力などの超能力、番組の展開でファンタジー的な要素として活用
「リアルさが低いドラマ」という批判を予防

▲『オ・ヘヨン』のパク・トギョン(SHINHWAエリック。左の写真で左側の人物)には、未来を見通せる能力がある。『美女コン・シム』のアン・ダンテ(ナムグン・ミン。右の写真で右側の人物)は、他人より優れた視力でコン・シム(Girl’s Dayミナ)を危機から救い出す。/写真=CJ E&M・SBS提供
▲ ▲『オ・ヘヨン』のパク・トギョン(SHINHWAエリック。左の写真で左側の人物)には、未来を見通せる能力がある。『美女コン・シム』のアン・ダンテ(ナムグン・ミン。右の写真で右側の人物)は、他人より優れた視力でコン・シム(Girl’s Dayミナ)を危機から救い出す。/写真=CJ E&M・SBS提供

  近ごろの韓国ドラマは、超能力者の天下だ。現在放送中の『オ・ヘヨン』(tvN)、『美女コン・シム』(SBS)、『マスター 麺(めん)の神』(KBS2)はじめ、今年上半期に放送が終了したSBS『リメンバー』などのドラマには、特別な能力を持つ主人公が登場した。平凡男・平凡女が主人公のドラマを探すのが逆に難しいくらいだ。

 tvN『オ・ヘヨン』のパク・トギョン(SHINHWAエリック)は、近い未来に起こることを予知できる。ショッキングな失恋の後、突如として発現した能力だが、運命的に顔を合わせることになるオ・ヘヨン(ソ・ヒョンジン)関連で主に発揮される。一歩先の未来を見て、オ・ヘヨンが危機に陥るたび、白馬の王子様のように現れる。『美女コン・シム』に登場するアン・ダンテ(ナムグン・ミン)もまた「何でも全部見える」動体視力を活用し、コン・シム(Girl’s Dayミナ)の危機を救う。

 テレビ評論家のチョン・ソクヒは「番組中の超能力は、『ドラマのリアルさが低下する』という批判をあらかじめ封じてしまう効果がある。どのみちファンタジーなのだから、現実と差があっても視聴者がドラマの展開に納得できるようにする仕掛けとして使われている」と語った。『オ・ヘヨン』のパク・トギョンに予知能力がなかったら、大事件のたびにオ・ヘヨンと遭遇する場面はどれも「偶然」ということになり、蓋然(がいぜん)性が低いという批判を受けかねないが、予知能力のお陰でそうした声を聞くことがなくなった、という意味だ。

 超能力は、視聴率確保のための仕掛けでもある。パク・トギョンの予知能力は、2人のすぐそばに迫る事件を視聴者に予告する。ドラマの予告編と同じ、というわけだ。視聴者は、予知場面に登場した部分がいつ出てくるのが気になり、チャンネルを変えなくなる。5月24日の放送では、2人のキスを予知するシーンで今週の放送分を予告した。ネットユーザーらは「エリックはキスシーンで黒い上着姿で出てきたから、ドラマでいつ黒い服を着ていくのか、ちゃんと見ておこう」という反応を見せた。

 ただし、こうした超能力・超感覚は「アベンジャーズ」のようなスーパーヒーローの能力とは異なる。ドラマ評論家のユン・ソクチン忠南大学教授は「超能力・超感覚を持つ登場人物は、ヒーローというより、むしろ弱者に近い姿をしている。複雑な現代社会を、一般大衆が常識的には理解し難い中、大衆文的な換喩法で表現しているとみなすべき」と語った。

ヤン・ジホ記者
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