自閉症の娘、うつ病を患う妻とともにフィンランドに来た建築家ギホン(コン・ユ)は、子どもの学校で韓国人女性ソンミン(チョン・ドヨン)と出会う。ソンミンの子どもも自閉症を患っている。子どもたちをキャンプに送り届けた帰り、彼らは大雪のせいで家に帰ることができない。静かに降り積もる雪のように、二人は会話をほとんど交わさなくても、相手への感情を募らせていく。韓国に帰ってきた後、ギホンはサンミンに会いに行く。フィンランドで動揺から始まった愛は、ソウルで激しく揺れ動く。
映画『男と女』(2月25日公開)は不倫を扱っているが、正統派ラブストーリー。今まで映画やドラマで、コン・ユ(36)が演じてきたのは、ほとんどがフレッシュで清純な愛だった。大人の濃密な恋愛というより、かわいい初恋に近かった。そのため、彼は少女から中年女性までの支持を得ることができた。だから、コン・ユが病気の妻や娘がいながらも、人妻と愛を交わす役を演じると言ったとき、周りは首をひねった。それでも、コン・ユは「ギホンが僕ととても似ていたので、シナリオを読んでそそられました」と話す。
ギホンは「生きることが、なぜこんなに曖昧なのか分からない」という。彼は全ての質問に、「良かったりもするし、そうでなかったりもする」と答える、曖昧でもどかしい男だ。コン・ユはギホンのそのような面が自分とすごく似ているという。コン・ユは「みんなが思っているように、そんなにまっすぐではないし、優しくもない。でも、弾けたり平凡から脱することを好まない。僕はもともと煮え切らない人。温かいのは好きだけれど、熱いのは嫌い。必ずしも熱いだけが、たくさん愛しているということではないのに、時々誤解を受けたりもする」と話した。熱さと冷たさを頻繁に行き来するのが俳優の仕事だが、冷めた彼がこのような温度差に耐えられるだろうか。
「だからこそ、より喜びを感じているんだと思います。カメラの前では、実際の自分を捨てて、無視することができるので。その代わり、カメラの前以外では、すぐに本来の姿に戻ります。チョン・ドヨン先輩(43)は僕とは逆で、熱い人です。もともとそのような人が近くにいると、居心地が悪く、避けたりもするんですが、今回はカメラの中で、ギホンとしてサンミンをまっすぐ見詰めることができました」
コン・ユが『男と女』のプロモーションのために空けたインタビュー日程は、たった2日。彼は同作に続き、『釜山行き』(ヨン・サンホ監督)、『密偵』(キム・ジユン監督)の公開を控えている。彼は「デビュー15年目になり、以前より心を開くようになったし、態度が柔軟になったと思います。以前は笑いたくなくても、笑わなければいけない状況に慣れていくのが嫌なぐらい、とがっていました。今は“自分がよければ、やるだけ”という心構えなので気がラク」と語った。
そう言い終えると、「若い女性ファンはこういうのを嫌がるかな」とつぶやき、「最近の若い女性たちは、キム・スヒョンが好きみたい」と言い放った。思わず吹き出した彼の顔が赤くなった。