ソ・ジソブとシン・ミナが共演したが、“KBS月火ドラマの呪い”は解けていない。KBSが放送した今年最後の月火ドラマ『オー・マイ・ビーナス』は、視聴率7-9%を行き来しながら、同時間帯に放送される地上波ドラマの中で、最下位にとどまっている。1位は『六竜が飛ぶ』(SBS)、2位は『華麗なる誘惑』(MBC)だ。
KBS月火ドラマの不振は1年以上続いている。今年、視聴率が2ケタを記録したのはたった一日、『ヒーラー』が放送された1月19日だけだった。『ディア・ブラッド~私の守護天使』『恋するジェネレーション』『君を覚えてる』『変な嫁』『ぶしつけにゴーゴー』の視聴率は1ケタで、大部分は同時間帯の地上波ドラマで最下位を記録した。KBS月火ドラマが、同時間帯視聴率1位を獲得したのは、2013年10月に終了した『グッド・ドクター』が最後。視聴率だけが低いのではなく、作品性でもまともな評価を受けた作品がなかった。
最終回まであと4話となった『オー・マイ・ビーナス』は、KBS月火ドラマの不振がどこで始まったのかを示している。“新概念のスポーツクラブ・ロマンス”を標榜し、ソ・ジソブとシン・ミナのように、これまでテレビであまり見られなかったトップスターを主人公に起用した。新鮮な素材と設定、スターマーケティングで、放送前から話題となった。似たような設定のウェブ漫画『ダイエット』が、肥満女性がダイエットをしながら経験する過程を現実的に描き、人気を博しているため、同ドラマへの期待も高かった。
しかし、シン・ミナが特殊メークまで施して演じた肥満女性のキャラクターに、感情移入できる視聴者がどれほどいるのか疑問だ。ダイエットの難しさはほぼ描かれないまま、たちまち痩せ、スリムになった後はこれ見よがしに恋愛からスタートした。ソ・ジソブとシン・ミナが披露した“セロリキス”は、『シークレット・ガーデン』(2010年)の「泡キス」以来、数多くのラブストーリーでマネされてきたシーンだ。当初の企画意図から新概念も、スポーツクラブも抜け落ち、ロマンスだけが残った。従来のドラマと何ら違いがないというわけだ。
KBS月火ドラマがもともと不振だったわけではない。韓流ブームを巻き起こした『冬のソナタ』『花より男子~Boys Over Flowers』、チャン・ヒョク、ペ・ドゥナ、チェ・ガンヒら新人俳優を輩出した『学校』シリーズがすべてKBS月火ドラマだった。KBS出身のある監督は「ドラマやバラエティー、時事など地上波が独占していたコンテンツをケーブルや総合編成チャンネルが新たに制作するようになり、視聴者の興味が分散されている。『マイ・リトル・テレビジョン』(MBC)のように、独創的で斬新な試みをしなければ、地上波離れが進むだろう」と話した。