「Fin.K.L」以降、女性アイドルグループに興味がなくなってしまった「40代オジサン記者」シン・ドンフン記者は「面白くなければ10分で出て行く」とさんざん脅したものの、コンサートの最後までステージに食いついて見ていた。昨年まで独身だった「30代新婚記者」権承俊(クォン・スンジュン)記者は20代半ばの「淑女」たちの華麗なフォーメーション・ダンスを見て楽しさと罪悪感のせめぎ合いにさいなまれていた。その隣の「30代女性記者」卞熙媛(ピョン・ヒウォン)記者はコンサート中、客席の背もたれに寄り掛かり、腕組みをしたままだった。
22日、ソウルオリンピック公園体操競技場で行われた人気女性アイドルグループ・少女時代のコンサート。観客1万人が2時間半にわたり大歓声を上げ、ペンライトを振った。所属事務所SMエンターテインメントによると、ほとんどが20-30代の男性(60%)と10-20代の女性(35%)だとのことだ。少女時代のファンではない男性記者たちもいつの間にか観客に共感していた。それほどコンサートは華やかだった。過酷なメニュー管理で作られたプロポーション(特に脚)を強調した衣装、一緒に歌いやすいリフレーンが多いメロディー、歌詞の内容に合わせたセクシーな振り付け…女性アイドルグループの3大要素が溶け合った、壮大なショーだった。原色中心の照明にレーザー、ホログラムまで動員した演出から3曲歌うごとに飛び出す花火まで、特殊効果も惜しみない。チケット代(11万ウォン=約1万2000円)を忘れさせるくらいのものを見せようという心意気が感じられた。30-40代の男性ファンたちの体は「GENIE」「Gee」などおなじみのヒット曲に反応した。少女時代の顔すらあやふやだったオジサン記者は、コンサートが盛り上がるにつれてメンバー全員の名前を思い出した。
その圧倒的なコンサートを前にした30代女性記者は「もう少し成長したパフォーマンスを見せてくれるのかと期待したのに残念」と言った。少女時代は2007年のデビュー時、購買力がある20-30代の男性が中心の、いわゆる「おじさんファン」市場を開拓して成長した。しかし、10代でデビューしたメンバーは現在、20代半ばになった。今もケラケラ笑いながら大ぶりな指輪にハイヒール、口紅という「ステージのオブジェ」に安住して歌を歌うのを成長とは言いがたい。オジサン記者もコンサートの途中でメンバーたちがメークやネイルケアの話をしていた時、夢から目が覚めてしまった。そして、完ぺきなダンスをするため物足りなくなってしまった歌がいっそう耳に付いた。リーダーのテヨンを除くメンバーたちは今も息づかいが不安定で、コンサートのクライマックスで「Gee」などの大ヒット曲を歌う時に歌い出しのタイミングを間違うなどの初歩的なミスもあった。
それでも少女時代は今もキュートで華やかで見事なショーが見せられる女性アイドルグループだ。ファン層が弱い女性アイドルグループの中で唯一、定期的に単独コンサートを開き、観客2万人を動員する。この日、SMが製作した6つの少女時代関連グッズ(合計19万3000ウォン=約2万円)は完売した。釜山からやって来て、グッズをすべて買ったキム・サンジンさん(35)と友人5人は「7年前に少女時代のファンクラブで会って以来、すべてのコンサートを一緒に見た間柄」と言った。会場を訪れた10代の少女たちにとって、少女時代は未来の希望だ。母親と手をつないでやって来たキム・アジョンさん(12)は「SMに入るため練習している」と言った。アジョンさんにとってこのコンサートは校外学習も同然だ。こうした少女たちこそ女性アイドルグループの将来の成長動力なのだ。
そうした少女たちに対し、少女時代はバラ色の未来を見せてくれているのだろうか。オジサン記者と新婚記者が首をかしげていると、30代女性記者は「いちずに少女時代を応援している固定ファン以外の人々が、少女時代のコンサートに来て曲を聞くようになるような突破口は見えなかった」と言った。少女時代は来年、デビュー10年目に入る。