ジュンスらの歌唱力が救ったミュージカル版『デスノート』

『DEATH NOTE THE MUSICAL』 レビュー

ジュンスらの歌唱力が救ったミュージカル版『デスノート』

 少し驚いた。これが本当にあのとき見たミュージカルなのか。先日幕を開けた『DEATH NOTE THE MUSICAL』 は、俳優たちの歌唱力が向上したら作品のレベルがどれほどアップするのかを示す、教科書的なケースだった。流麗ながらもアピール力のあるホン・グァンホの声は、挿入歌で遊んでいるようだったし、JYJジュンスの金切り声に込められた魂や鬼気は、旧韓末のパンソリ(韓国の伝統芸能の一つ)5名唱を連想させた。4月に東京で見た『DEATH NOTE THE MUSICAL』の日本人俳優たちの声とは比べものにならないほどだ。

 日本の人気漫画を原作とし、韓国で上演中の『DEATH NOTE THE MUSICAL』は、第1次・2次チケット販売分6万枚が売り切れた。人気グループJYJのジュンスが「L(エル)」を、昨年英国ウエストエンドの舞台に立ったホン・グァンホが「夜神月(やがみライト)」を演じているからだ。

 夜神月は、名前を書いた人間を死なせることができるという「デスノート」を拾い、それを使って犯罪者を抹殺、理想の世界を作り上げようとし、謎の名探偵Lと心理戦を繰り広げる。第2幕では、2人がテニスをしながら歌う二重唱が見もの。ホン・グァンホとジュンスの声は、見事に化学反応を起こしている。メスの死神レム役のパク・ヘナの演技や歌もよかったが、最高の演技を見せてくれたのは、とぼけたようでいながらも執拗なオスの死神リューク役を見事に演じたカン・ホンソクだった。

 一方、限界も見えた。鉄製の手すりや柱で作られた単純な舞台は、大型ミュージカルに見合わず、栗山民也の演出は、悪の世界に足を踏み入れる主人公の心理状態を十分に描写できていなかった。突然終わってしまうような結末は調子はずれで、群舞や合唱を担う俳優たちの力量も不十分といえる。前作『ジキル&ハイド』や『ドラキュラ』から持ってきたようなフランク・ワイルドホーンの音楽は平凡だった。優れた俳優たちが、「平均以下」だったこの作品を「平均以上」に引き上げたが、ホン・グァンホやジュンスのファンでなければ、高いお金を出してチケットを購入し、見るべき作品なのか疑問だ。

兪碩在(ユ・ソクチェ)記者
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