韓国で今、「1人放送」がトレンド!?

テレビのない家庭が増加

▲1人放送をベンチマーキングしたバラエティー番組で、料理の腕前とトークにより注目を集めている飲食店経営者ペク・チョンウォン氏(写真左上)、同氏と共演したAOAのチョア(写真右上)。1人放送の司会者ナ・ドンヒョン氏は、番組照会数が3億回を超えるほど人気だ(写真下)。/MBC提供、ユーチューブをキャプチャーしたもの
▲ ▲1人放送をベンチマーキングしたバラエティー番組で、料理の腕前とトークにより注目を集めている飲食店経営者ペク・チョンウォン氏(写真左上)、同氏と共演したAOAのチョア(写真右上)。1人放送の司会者ナ・ドンヒョン氏は、番組照会数が3億回を超えるほど人気だ(写真下)。/MBC提供、ユーチューブをキャプチャーしたもの

 今年放送業界で浮上しているキーワードの一つが数字の0と1だ。これは、「ゼロ・テレビ世帯(テレビがない世帯)」の時代に、「1人放送」がトレンドになっているという意味。

 まず、家庭からテレビが消えている。今年1月、米国の視聴率調査会社ニールソン・メディア・リサーチは「ゼロ・テレビ時代」が迫っているという内容を骨子とした報告書を発表した。スマートフォン(多機能携帯電話端末)などデジタル機器の発展により、今や家にテレビを置かなくてもドラマなど動画コンテンツを消費することができる時代になってきたというわけだ。韓国も「ゼロ・テレビ時代」に入っている。昨年の韓国メディア・パネル調査によると、韓国の世帯の4.4%が「ゼロ・テレビ世帯」に当てはまるという。

 テレビが消えたところに入り込んできたのは人間だ。資本や技術がなくても、家にインターネットとWEBカメラさえあれば動画投稿サイト「ユーチューブ」などを通じて放送することができる、1人放送コンテンツが人気を集めている。アフリカTVやユーチューブなどで人気を集めている司会者は、自分の番組に付く広告料などで収入が月数千万ウォン(数百万円)になるケースがある。こうしたインターネット1人放送が新たなトレンドになり、ケーブルテレビを運営しているCJ E&Mは先月から、こうしたインターネット1人放送のためのプットフォーム事業を開始した。

 地上波放送もベンチマーキング(ほかの優れた点を学んで業務などを改善する手法)に乗り出した。『マイ・リトル・テレビジョン』(MBC)は、キム・グラら芸能人のほか、飲食店経営者ペク・チョンウォン氏らがそれぞれのコンテンツでインターネット1人放送をし、それを撮影後、編集してテレビで放送する。インターネット生放送は予告なしにいきなり流れるが、最大16万人がアクセスし、リアルタイムでこれを見ている。テレビでの本放送は実質的に再放送のようなものだが、視聴率7-8%台でさほど悪くはない。この番組で優れた料理の腕前や味のある語り口を見せたペク・チョンウォン氏は今、放送業界で注目を集めており、自分の名前を冠したバラエティー番組まである。

 インターネット1人放送の強みは、視聴者とのチャットを通じ、リアルタイムで対話できるという点。テレビではできないが、スマートフォンなどで見るインターネット放送ならいくらでも可能だ。『マイ・リトル・テレビジョン』でもこうした強みを生かし、出演者たちが視聴者とチャットする姿を中継し、面白いコメントは編集して目立たせている。ペク・チョンウォン氏が間違ってスープに唐辛子を落とし「唐辛子が落ちた」とつぶやいたのを見た視聴者たちは「18禁放送だ」と驚いた。韓国語で唐辛子(コチュ)は男性の性器を意味する隠語。ペク・チョンウォン氏はすぐに「不本意ながら番組で変なところをお見せしてすみません」と謝罪し、制作陣は唐辛子の絵を画面に表示した。ペク・チョンウォン氏は「『マイ・リトル・テレビジョン』ではチャットを見てすぐに返事をするのが重要だが、僕は昔インターネット・ゲームにはまっていたことがあり、リアルタイムで意思疎通するのには自信がある」と語った。

 インターネット1人放送で人気のジャンルは主にグルメ、ゲーム、料理という点も、「ゼロ・テレビ」と関係がある。最近増えている「ゼロ・テレビ世帯」の多くは20-30代の一人暮らし。文化評論家のキム・ホンシク氏は「(食べる姿を放送する)グルメ番組は、一人暮らしをしている人たちの寂しさを紛らわす効果がある。ゲームや料理も、それを手本にするなどし、一人で楽しめるコンテンツ」と語った。

権承俊(クォン・スンジュン)記者
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