俳優キム・ガンウが映画『奸臣(かんしん)』(ミン・ギュドン監督、ス・フィルム制作)撮影中に起こった一連のトラブルについて、淡々と語った。
キム・ガンウは5月14日、ソウル市鍾路区八判洞のカフェで行われた同作のインタビューで「肉体的に大変なことは、以前もっときついことまでやった」と言って笑い「むしろ、演技のボーダーラインを守っているのか悩み、それが大変だった」と打ち明けた。
同作でキム・ガンウが演じたのは、快楽におぼれた朝鮮王朝第10第国王・燕山君役。女性との情事や享楽にふけて生きていた燕山君は、朝鮮各地の美女を探し出し宮殿に招き入れることを命じたことから、争いの中心に立つ。狂気と共にさまざまな露出シーンもあり、以前のキム・ガンウとは全く異なる姿を見せた。
イメージチェンジを図ると共に、キム・ガンウは撮影前から燕山君に関する資料をチェックするのはもちろん、ミン・ギュドン監督と意見を交換しながら、燕山君になり切っていった。しかし、撮影に入ってから、小道具を磨くため使っていた液体を誤って飲んでしまい病院の世話になり、最後に豚に追われるシーンの撮影では皮膚病にかかった。
キム・ガンウは「体がしんどいというよりは、うまく演じられているのか、これが合っているのか、ということの方が心配だった。自分で100パーセント感じながら撮影していたと思う」と打ち明けた。
さらに、燕山君の狂気じみた演技を繰り広げながら体験した副作用についても告白。キム・ガンウは「アドレナリンがものすごく分泌されると眠れない。子どもたちも楽しく遊ぶと眠れないように、興奮状態が続いていたので撮影中はしっかり寝ることができなかった」と打ち明けた。
また「風采がよい王を(監督が)望んでいたので体重を10キロほど増量したが、その状態をキープしなければならず、ずっと何かを食べていた。眠れないのに食べ続けなければいけない状況だった」と当時を振り返った。
一方、イメージチェンジについて、キム・ガンウは「今までいい人の役ばかり演じてきたと思う。この世の中には、悪い人より善良な人の方が多いではないか」と今まで演じた役について紹介。
キム・ガンウは「悪役を演じるチャンスが来て、その悪役が実在の人物だということから、事実を基にしていて現実性があるという点で、気分よく撮影をスタートさせることができた。表現する上で必要なエネルギーはたくさん使うが、楽しかった」と悪役を演じた感想を伝えた。続けて「落ち着いて物語をリードしていくことが、個人的にはより難しかった」と語った。
同作は、暴君として名高い燕山君(キム・ガンウ)と、王を思いのままに操っていた稀代の奸臣(よこしまな臣下)任崇載(イム・スンジェ)=チュ・ジフン=、朝鮮各地の美女1万人を強制的に徴集した採紅にスポットを当てた作品。演出は『アンティーク-西洋骨董洋菓子店-』『私の生涯で最も美しい一週間』『僕の妻のすべて』などのミン・ギュドン監督が手掛けた。5月21日公開。