俳優ソン・ヒョンジュは報道陣と会うと私たちより先に、それも丁寧に腰を90度に曲げてお辞儀をする「腰の低い俳優」として知られている。
6日に行われたソン・ヒョンジュ主演映画『悪の年代記』のメディア試写会でも、ソンヒョンジュの謙虚な姿勢は相変わらずだった。報道陣に向かって「お疲れさまです。よろしくお願いします」とあいさつし、目を合わせてほほ笑む姿には温かさを感じた。
こうした謙虚さは共演の後輩俳優たちにとってプレッシャーになりそうなものだが、ソン・ヒョンジュが記者懇談会で何度も立ち上がって報道陣に丁寧にあいさつをすると、後輩俳優たちもお辞儀をせざるを得ない状況になるため、会場は笑いに包まれた。また、ソン・ヒョンジュはこれだけにとどまらず、共演者マ・ドンソクやソ・ガンジュンにも頭を下げてあいさつした。これに2人は戸惑い、お辞儀を返すことになった。
こうしたソン・ヒョンジュの謙虚な姿勢はどこから来るのだろうか。
今年でデビュー25年目、満50歳を迎えるソン・ヒョンジュが主演クラスの俳優になったのはわずか4年前だ。ソン・ヒョンジュの演技力が素晴らしいことは誰もが知っていたが、50歳近い中年俳優を二つ返事で主人公にしようというドラマ制作会社はなかった。だから、デビュー20年でもテレビドラマの準主役級止まりで、映画では味はあるがそれほど重要でない助演クラスの役ばかり引き受けてきた。
しかし、2012年にドラマ『追跡者チェイサー』で見せた演技は、見た人全てをとりこにしてしまった。同ドラマの成功を足掛かりに、ソン・ヒョンジュは『黄金の帝国』『シークレット・ミッション』『かくれんぼ』『3days』を相次いでヒットさせ、瞬く間に韓国トップの演技派俳優として知られるようになった。
俳優としての成功を20年間待っていたソン・ヒョンジュが苦労に苦労を重ねて人気を得たのは、単に「演技力があるから」ではなく「共演者や撮影スタッフが共に頑張って苦労したおかげ、という謙虚な姿勢で演技を続けてきたから」なのだ。
長い間待った末、苦労して得た人気に満足せず、常にベストを尽くして得たものを自分以外の人々のおかげだというソン・ヒョンジュ。そんな彼の謙虚な姿勢が90度腰を曲げてのお辞儀となり、今もトップスターの座を守り続けている秘訣(ひけつ)なのだ。