「今ここ眠る者たちよ、この大地に溶けよ。ああ、強い者も弱い者も流れて消え去っていく」
15日、東京・有楽町の日生劇場(1200席)を埋め尽くした観客は、ミュージカル『DEATH NOTE THE MUSICAL』の最後の曲「レクイエム」が終わると、大きな拍手と歓声を送った。世界で発行部数3000万部を突破した日本の同名漫画のミュージカル化作品は6日、同劇場で初演を迎えた。
韓国でこの作品が注目されているのにはワケがある。6月20日から8月9日まで、この作品の韓国語バージョンが城南アートセンター(京畿道城南市)で上演されるからだ。韓国で最も公演チケットが売れるJYJジュンスと、昨年英国ウエストエンドの舞台に立ったホン・グァンホがメーンキャストの「L」と「夜神月(やがみライト)」を演じる。
2人のほか、チョン・ソナ(弥海砂〈あまねみさ〉役)、パク・ヘナ(レム役)、カン・ホンソク(リューク役)など、5人全員がワンキャスト(1つの役を1人の俳優が演じること)だ。JYJの所属事務所C-JeSエンターテインメントがミュージカル事業に進出する最初の作品でもある。
『DEATH NOTE THE MUSICAL』は、人間の本性を描く哲学的なストーリーと虚無主義的な情緒が印象的だった。演出の栗山民也は「理由もなく人を殺す若者が増えているのは、世界が間違った方向に向かっていることを意味する」と言った通りだった。
何一つ不自由のない恵まれた環境で育った大学生・夜神月は、名前を書かれた人が死ぬ「デスノート」を拾ってから連続殺人に手を染める。そして、この事件にかかわることになった異様な雰囲気を持つ探偵Lと激しい心理戦を展開する。デスノートの持ち主である男女の死神リュークとレムは「無限の欲望に振り回され、指の間をすり抜けていく砂をつかみ、また拾うだけ」と人間をあざ笑う。
しかし、今回の公演には首をかしげてしまった。舞台は鉄の手すりや柱、いすが数脚だけと単調で、衣装はコスプレ初心者が作ったように見えた。出演者たちの歌唱力はたびたび耳を防ぎたくなる衝動に駆られるほどお粗末で、一部は「高音不可」と言っても良かった。米ブロードウェーの有名作曲家フランク・ワイルドホーンが曲を書いているが、テンポが速い曲では独特のカラーが出ておらず、『ジキル&ハイド』をセルフカバーしたかのような平凡な曲も多かった。原作がそれなりにいいだけに、この作品を韓国公演ではどの程度のレベルにアップグレードできるのか、興味深い。ジュンスが演じるLは上演開始から40分で初登場するため、JYJファンには不満が募りそうな気もする。