【ソウル聯合ニュース】世界中で人気を集める日本の漫画は韓国でも絶大な支持を得ている。韓国の書店の「漫画コーナー」に行けば、韓国語でタイトルが書かれた数多くの日本漫画が並んでいる。このような漫画を通し両国のつながりに貢献してきた一人の人気漫画翻訳家がいる。
徐賢雅(ソ・ヒョンア)さん(44)は、韓国を代表する日本漫画専門の翻訳家だ。1990年代半ばに北条司氏の作品「キャッツ・アイ」で翻訳家としてデビューを果たし、これまで約200作品以上の日本漫画の翻訳を手がけた。翻訳作品の中には、「犬夜叉」「20世紀少年」「バガボンド」「鋼の錬金術師」「寄生獣」など、両国で人気を博したヒット作品も多数存在する。
幼い頃から多くの日本漫画を読んで育った徐さんは、宮崎駿氏の作品「風の谷のナウシカ」を読み感銘を受け、日本語の勉強を始めた。このことが、後に漫画の翻訳家を目指すきっかけにもなった。
韓国で出版する日本の漫画は、出版社が決める場合もあれば、徐さん自身が作品を推薦する場合もあると話す。原作を出版する日本の出版社と韓国の出版社が交渉する時は、複数の韓国出版社が競合することもあるそうだ。
翻訳作業に与えられた時間は1冊につき3日間~1週間と限られていて、1日の10時間以上を翻訳作業に費やすこともあるという。
日本の漫画を韓国語で読者に提供する上で大事なことは、「まず韓国でどのような言葉が使われているのか、しっかり学ぶこと」。そのために徐さんは、テレビの芸能番組や書籍、道行く人々の会話にいたるまで、日常的に触れる韓国語すべてにアンテナを張り巡らし、日々根気強く勉強していると明かす。
また、翻訳の際は、日本語の独特な受動態表現や間接的な表現、多様な名詞表現、方言、外来語の読み方など、韓国語との微妙な違いを読者に伝える部分で頭を抱えることが多い。辞書で探すことのできない若者言葉や、専門用語に関しては、「インターネットにすごく助けられている」と話す。
徐さんは両国関係の文化交流で漫画が持つ役割について、「互いを理解する上で助けになる」と話す。漫画に表われる作者の発想や思考に触れることで相手の文化を理解できると考えており、「漫画というアイテムを通して互いの文化に好感を持つきっかけになれば」と思いを語った。(原口理佳)