俳優チャ・スンウォンはこう語る。「俳優には5大義務がある。国防、納税、教育、勤労、そして広報」。本業ではなく副業に臨むときも、チャ・スンウォンは5大義務を守る。9日に行われたケーブルテレビチャンネルtvNのリアリティー番組『三度の食事』漁村編の制作発表会で、チャ・スンウォンは黒いスーツに赤いゴム手袋といういでたちで登場した。撮影現場で最も多くしたのが、そのゴム手袋をして野菜の下処理をすることだったという。ソウル・江南地区のホテルで制作発表会が行われた後、控室で向かい合って座ったチャ・スンウォンは「番組を絶対見てほしい」と話し、インタビューに応じた。
「ドラマであれ、バラエティーであれ、スタッフたちが苦労するのを見ていると『この作品がうまくいってほしい』と思い、焦りが生じる。俳優は自分の名前をかけて番組をPRするのだ」
チャ・スンウォンはこれまで1カ月間、船で6時間かかる全羅南道の晩才島で、厳しい寒さを乗り越え、三度の食事をとるため孤軍奮闘した。通常、一度の撮影で5、6日間ほど晩才島に滞在。一日に三食つくって食べればよいという簡単なコンセプトの番組だが、それがなかなか難しい。「晩才島には1万(韓国語で『晩』と発音が同じ)種類の財物があるといわれるほど食材が豊富らしい。ナ・プロデューサーがそう言って私を誘った。でも私は、食材が多いことと、それを私たちが食べられるかどうかといういうことは全く別の問題だということに気づいていなかった(笑)」
『三度の食事』第1弾に出演したイ・ソジンに2PMのテギョンがいたとしたら、今回の漁村編で、チャ・スンウォンには同い年のユ・ヘジン、韓流スターのチャン・グンソクがいる。3人のうち唯一既婚者のチャ・スンウォンが、食材を調達し食事を用意する上でメンバーを引っ張る役割を担った。ユ・ヘジンは「スンウォンと一緒にいる間中大変だった。食事のたびに、スンウォンが私に対し、ワカメをいためるようにいびり、仕事を押し付けた」とコメント。撮影現場でチャ・スンウォンには、「チャジュンマ(チャ+アジュンマ〈おばさんの意〉)」というニックネームが付いた。「実際に、料理の腕前は彼ら(ユ・ヘジンとチャ・グンソク)よりややましなくらい。番組を見れば分かるだろう(笑)」
通常、俳優たちは映画やドラマのプロモーション活動のためバラエティー番組に顔を出すことがあるが、チャ・スンウォンは「純粋に楽しむため」しばしばバラエティー番組に出演する。チャ・スンウォンは最近、バラエティー番組『無限挑戦』(MBC)に出演し、炭鉱で石炭を掘った。「体を動かす方がトーク番組より楽。何も考えず、言われたことだけすればいいから」
4月から放送される時代劇『華政』(MBC)で主人公の光海君を快く引き受けることにしたのも「体力的に負担があっても、長く息のできる作品に挑戦してみたかった」からだ。「昨年ドラマの撮影をしたときも大変だった。6カ月前に禁煙し電子たばこを吸うようになったので、少しはましになるだろう」
チャ・スンウォンは昨年、不本意ながら、長男が自分の本当の子どもではないことが世間に知られるようになるという痛みを経験した。チャ・スンウォンは当時「(長男は)心で産んだ息子だと固く信じており、今も後悔していない」と語った。この日、チャ・スンウォンは家族に関するコメントを控えた。その代わり、チャ・スンウォンは「幸せとは大したものではない」とコメント。「この年になってみると、愛する人が皆健康で、三食温かいものが食べられて、引き続き仕事ができることが幸せだということが分かった。それを守るために、もっと一生懸命生きなければ」
インタビューが終わり席を立つとき、記者が誤ってコーヒーカップを割ってしまうと、チャ・スンウォンは笑いながら手を差し伸べた。「こんな風に厄払いしてくださって。私たちの番組、うまくいきそうだ(笑)。絶対に見てほしい」と話したチャ・スンウォン。最後まで広報の義務を忘れない俳優だった。