ドラマ『家族同士どうして』がくれた教訓

視聴率2%台の地上波局ドラマがある中、40%突破ドラマの意義とは?

ドラマ『家族同士どうして』がくれた教訓

 20%台でスタートし、50%台も目前。週末ドラマ『家族同士どうして』(KBS第2)の視聴率(ニールセン・コリア調べ)の話だ。昨年8月16日に視聴率20.0%でスタートした『家族同士どうして』は、今月25日に42.2%をマーク、大ヒットしている。これは同ドラマの自己最高視聴率だ。同じ日に放送されたSBSの週末ドラマ『やって来たファミリー』は2.9%、『私の心キラキラ』は2.3%だった。ケーブルテレビチャンネルや総合編成チャンネルの躍進で、地上波局ドラマの視聴率が2%台まで落ち込み、ピンチにさらされているのが現実だ。放送関係者の大半は、こうした状況で『家族同士どうして』の高視聴率に大きな意義があると考えている。「視聴率が10%台でも成功」と言われるほど地上波テレビ局の視聴率は全体的に下がっているが、コンテンツさえ良ければ視聴率40%台も不可能ではないことを『家族同士どうして』は示しているのだ。

 このドラマの意義はほかにもある。『家族同士どうして』は極端、あるいは過激なストーリー展開なしに視聴者の反響を呼んでいる。このドラマに「国民的悪女」はいない。悪役も一人も出てこない。出生の秘密や不倫、復讐(ふくしゅう)などのエピソードもない。刺激的な要素のない『家族同士どうして』が味のあるストーリーになっているのは「父親の情」のためだ。「親不孝訴訟」という斬新な素材を刺激のないように描き、自然な形で視聴者の共感を呼んでいる。

 法律とは無縁な生活を送ってきた豆腐屋チャ・スンボン(ユ・ドングン)は、子ども3人を法廷に立たせた。理由は「親不孝」だ。妻と死別した後、自分の人生を投げ打って子ども3人を育ててきたが、その結果返ってきたのは子どもたちの無関心と冷遇だった。子どもたちは家の土地までほしがり、不仲になったことから子どもを相手取り訴訟を起こした。まかり間違えば拒否感を招きかねないテーマを、このドラマはユーモアたっぷりに描き、反感を呼ぶことがない。父親は裁判官の仲裁により、親不孝訴訟を取り下げる代わりに、自分自身の野望のため病院長を務める妻の実家に婿養子に入った次男ガンジェに対しては「3カ月間家で一緒に暮らす」、独身の長女には「お見合いを10回する」など細かな条件を付ける。親不孝訴訟は子ども3人に家族の価値をあらためて認識させるきっかけになっているのだ。

 また、チャ・スンボンはがんと診断され、余命3カ月との宣告を受けている。これを『家族同士どうして』では「お涙ちょうだい」式の古い芝居にはしなかった。人生の終わりに向けて準備する父親の姿を淡々と、時にはふざけたように描き、幅広い世代が共感できる場を設けた。子どもたちには忘れかけていた父親の声を聞かせ、親には子どもたちと語り合う姿を見せ、ドラマの中で視聴者に追体験をさせている。

 チャ・スンボンを演じるユ・ドングンは「このドラマは、若いころの自分のことを振り返らせてくれるのでとても価値がある。皆さんは『ガンジェが悪い』と言ったり、父親が入院しても見舞いに来ない子ども3人をなじったりするが、実はそうした姿は自分の若いころの姿でもある。よく考えると、誰も子ども3人を悪く言うことはできないのでは」と語った。このドラマは父親ではなく、若かったころに不十分だった自分の姿を省みさせてくれるというわけだ。それだけ、世の親子間に何らかの共感を与えていることになる。『家族同士どうして』はあと6話を残すのみだ。来月15日の最終回で、チャ・スンボンがどのような最期を遂げるのか、あるいはほのぼのとした家族ドラマで終わるのか、視聴者の関心が高まっている。

ドラマ『家族同士どうして』がくれた教訓

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ヤン・スンジュン記者
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