イ・ビョンホン恐喝女2人に異例の実刑判決

イメージ失墜による被害を考慮か

イ・ビョンホン恐喝女2人に異例の実刑判決

 人気俳優のイ・ビョンホンさん(44)が酒を飲みながらわいせつな話をする姿を隠し撮りし、これをインターネットに流すと脅し50億ウォン(約5億4000万円)を要求したとして起訴された女性モデルのA被告(25)とガールズグループメンバーのB被告(21)に対し、実刑判決が言い渡された。裁判所は、恐喝が未遂に終わったにもかかわらず、悪質な犯罪だと判断して異例の実刑判決を言い渡したが、一方でイ・ビョンホンさんが先に被告らに性的な冗談を言うなどし、犯行の原因をつくったと指摘した。

 ソウル中央地裁刑事9部のチョン・ウンヨン裁判官は15日、恐喝罪で昨年9月に逮捕・起訴されたA被告とB被告にそれぞれ懲役1年2カ月、懲役1年(求刑はともに懲役3年)の判決を言い渡した。

 一方で、チョン裁判官は「被害者のイ・ビョンホンさんは有名人であり、既婚者だが、はるかに年下のA被告に性的な冗談を言い、異性として関心を見せた。イさんが犯行のきっかけをつくった面がなくはない」と指摘。

 イ・ビョンホンさんがA被告の家で個人的に会い、ゲームをしながらキスなどの身体接触をした事実を認め、イさんの不適切な行為が事件の発端になったとの見方を示した。精神的・物理的に大きな被害を受けた恐喝の被害者に対し、裁判所が「犯行の原因をつくった」などと叱責するのは異例のことだ。

 チョン裁判官は「(A被告とイ・ビョンホンさんの)恋人関係がこじれたことによる偶発的な犯罪」だとするA被告とB被告の主張を聞き入れなかった。被告らが「動画を芸能メディアに送れば10億ウォン(約1億800万円)が手に入る」といった携帯電話メッセージを送っていたことなどを踏まえ、事件は「金銭目当ての計画的な恐喝行為」だったと判断した。

 「イ・ビョンホンさんと恋人同士だった」とするA被告の主張にも疑問を呈した。A被告はイ・ビョンホンさんからの会おうという誘いを何度も断っており、メッセージのやりとりからもイさんに対する恋愛感情はうかがえなかったと指摘した。

 チョン裁判官はまた、A被告が捜査と裁判の過程で一貫して恋人同士だったと主張したことで、イ・ビョンホンさんが社会的に非難されるなど大きな被害を受けたとの見方を示した。無理やり恋人同士だったと言い張ったことが、むしろA被告に不利になったことがうかがえる。恐喝そのものだけでなく、その後に防御権(自分を守る権利)を行使し、主張した内容を踏まえて判決を下したことも、異例と指摘される。

 チョン裁判官は「要求額が50億ウォンに達し、イ・ビョンホンさんが大きな精神的・物理的被害を受けたことから、実刑判決は避けられない」と説明した。ダークカラーの上着姿で長い髪を垂らしたまま判決を聞いていたA被告は、実刑が言い渡されると泣き崩れた。B被告も判決に複雑な表情を見せた。

 法曹界は、2人に対する判決が意外に重かったことにやや驚いているムードだ。恐喝罪の場合、A被告が最初に要求した50億ウォンを基準にすると、通常は懲役10カ月から2年の判決となるが、未遂に終わった上、A被告らが初犯で若く、被害者のイ・ビョンホンさんが最初に犯行のきっかけをつくったことを踏まえ、執行猶予が付くとの見方が優勢だった。被害者が有名人で、イメージの失墜による被害が大きかったことを考慮し、実刑が言い渡されたと法曹界は分析している。

ヤン・ウンギョン記者
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