済州島南西部で楽しむ「地質旅行」

 済州島は、島全体がユネスコ(国連教育科学文化機関)のジオパークに認定されており、地質学的価値が高く景観の優れた名所が10カ所ある。中でも済州島南西部にある山房山と竜頭海岸は海と山を一度に見られるだけでなく、ユニークな伝説や神話が多く伝わる地域でもある。

 特に竜頭海岸の向こう側に見える漢拏山と韓国南西部のどこからでも見える山房山は、自然の神秘を感じさせてくれる。また、沙渓里に沿って長く伸びる海岸道路をドライブすれば、これら全ての景色を楽しむことができる。「百聞は一見にしかず」だ。済州島南西部の美しさを見に行ってみよう。

済州島南西部には竜頭海岸や山房山、沙渓海岸道路などのお勧めスポットがある。
▲ 済州島南西部には竜頭海岸や山房山、沙渓海岸道路などのお勧めスポットがある。

■済州島南西部の全ての景色が楽しめる「沙渓海岸道路」

 月汀里海岸道路、涯月‐下貴海岸道路など済州島の海岸道路では、ほかとは比べようもないくらいの絶景に出会える。青い海や済州島特有の奇岩の数々を見ていると、日常から解放されると共に、自然に対する畏れの念が沸いてくる。

 海岸道路の中でも済州南西部の沙渓海岸道路は、最高の景色が見られるドライブコースとして有名だ。松岳山から山房山までを結ぶこの道路は、エメラルド色の海とその上に浮かぶ兄弟島、そびえ立つ山房山が一望できる。

全長5キロの沙渓海岸道路からは、済州島南西部の見事な景色がよく見える。
▲ 全長5キロの沙渓海岸道路からは、済州島南西部の見事な景色がよく見える。

 沙渓海岸道路は全長5キロほどで、歩いて楽しめる場所もあちこちにある。特に、向かい合う兄弟島の間から日の出が見える時期には、大勢の写真家たちが貴重な風景をカメラに収めようと集まってくる。

■平野にそびえ立つ昔の火山「山房山」

 沙渓海岸道路の終点部分、西帰浦市安徳面にある山房山は周囲が約1200メートル、標高395メートルの大きな山で、平野の広がる済州島南西部では目立った存在だ。南西部のどこからでも一目で分かる。

 山房山は高さがあって海に接しているため、山頂に雲がかかっている様子がたびたび見られる。また、山の中腹には長さ10メートル、幅5メートル、高さ5メートルほどの山房窟がある。山房窟までは登ることができ、沙渓海岸道路や兄弟島が見える。晴れた日には遠くの馬羅島までも見渡せる。ただし、風の強い日や落石の危険があるときには立ち入り禁止となる。

山房山は平地にそびえ立っており、どこからでも見える。
▲ 山房山は平地にそびえ立っており、どこからでも見える。

 山房山は春になると周囲が一面菜の花で覆われる。春に済州島を訪れるのなら、山房山方面に行ってみよう。青い空と黄色い大地、そびえ立つ山房山…済州島で必ず見ておくべき景色の一つだ。

■80万年前から波に削られている海岸「竜頭海岸」

 山房山の裾野にある海沿いの道を10分ほど歩いて下っていくと、竜頭海岸が見えてくる。済州島北側にある「竜頭岩」は、竜が頭を持ち上げて空を見ているような形だが、南側にある竜頭海岸は竜が海に入っていくような形をしている。

 竜山海岸は、海辺の絶壁がおよそ80万年にわたり波に削られてできた海岸だ。色の違う層が幾重にも重なる岩と、波に浸食された海岸が、絶景をつくり出している。海岸を歩いていると、長さ30-50メートルの絶壁が波のようにくねっている神秘的な風景が見られるかもしれない。

竜頭海岸は層ごとに色の異なる岩と、浸食された海岸が絶景を生み出している。
▲ 竜頭海岸は層ごとに色の異なる岩と、浸食された海岸が絶景を生み出している。

 ちなみに竜頭海岸を観光する場合は、潮の満ち引きのタイミングを考えなければならない。また風が強い日や波の高い日は落石の危険があり、立ち入りを制限することがあるため、あらかじめ確認しておくこと。竜頭海岸の観光ができなければ、入り口前のハメル記念館を訪れてみよう。記念館はオランダ人のハメルが乗ってきた商船を復元したもので、目の前に済州の海が、後ろには山房山が見える。

■山房山と馬羅島が見える休息スペース「ポドホテル」

 西帰浦市安徳面には、済州のオルム(側火山)とわらぶき屋根をモチーフにした建物がある。済州の7大建築物にも選ばれている「ポドホテル」だ。ポドとは韓国語でブドウの意。建物の屋根がブドウの形をしていることからこの名が付けられた。

屋根がブドウの形になっている「ポドホテル」は、済州の7大建築物の一つだ。
▲ 屋根がブドウの形になっている「ポドホテル」は、済州の7大建築物の一つだ。

 ポドホテルは済州の田舎の家のように質素で静かだ。石垣と菜の花と麦に囲まれ、済州の伝統家屋で過ごしているような気分が味わえる。窓の外には済州の自然が広がっている。韓室(韓国の伝統的な部屋)からは済州の水と沼が、洋室からは山房山と韓国最南端の馬羅島が見える。

 このような自然の中で、ホテルでは温泉も楽しめる。お湯の中に体を沈め、外を眺めていると、景色のいい田舎の別荘にいるような気分を満喫できる。また、ここで出している日本式のうどんはグルメな旅行客たちに人気で、口コミで広まっている。ホテルを訪れたら是非味わってみよう。

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