女優ソン・イェジンはデビュー以来、毎年欠かさず作品に出演し続けてきた。学校や会社だったら皆勤賞といえるだろう。
演技者にとって、コンスタントに作品に出演するのは容易なことだろうか。心が動かされる作品と出会えないこともあるだろうし、出演を決めても制作が白紙化したりすることも多い。14年間休まず走り続けてきたソン・イェジンは、代わりのいない、唯一無二の女優となった。
1999年、化粧品のCMでデビューしたソン・イェジンは、清純な美しさで一気に注目を浴びた。少女のようなフレッシュさと成熟した美しさを併せ持つソン・イェジンは、デビュー2年目にしてドラマ『おいしいプロポーズ』『ソニジニ』(共にMBC)主人公の座をつかんだ。新人にもかかわらず、演技者なら常に付きまとう、演技力をめぐる批判にも巻き込まれなかった。むしろ翌年、映画『永遠の片想い』『酔画仙』やドラマ『大望』(SBS)に相次いでキャスティングされ、さらに株を上げた。短期間で演技力と人気を得たソン・イェジンが、各種授賞式で新人賞を受賞したのはまさに当然のことだった。
映画『永遠の片想い』『ラブストーリー』、ドラマ『夏の香り』(KBS第2)、映画『私の頭の中の消しゴム』などを通じて、ソン・イェジンは清純派女優の代名詞と呼ばれるようになった。しかし、ソン・イェジンは単純に清純な美女にとどまらなかった。映画『ナンパの定石』でプロのナンパ師に、映画『四月の雪』では危険な恋に落ちる女性を演じ、同じラブストーリーでも絶えずイメージチェンジを試みてきた。2006年のドラマ『恋愛時代』(SBS)では、当時26歳でカム・ウソンと離婚後の微妙な感情を繊細に表現した。
ラブストーリーの勢いが弱まり、女優の単独主演作品が大幅に減っても、ソン・イェジンは相次ぎ監督たちから指名された。特に、2010年代はソン・イェジンにとって挑戦の連続だった。映画『恋は命がけ』でホラーテイストのラブコメディーに挑戦したのに続き、2012年には大作災難映画『ザ・タワー 超高層ビル大火災』で度胸のある強靭な姿を披露した。昨年はサスペンス映画『共犯』で持ち前の演技力を発揮して好演し、今夏は『海賊:山に行った山賊』(以下、『海賊』)で初めてアクション時代劇に挑戦した。
寒さに耐え、水中撮影、ワイヤーアクションなどを自らこなした苦労は、作品の大ヒットと授賞式での受賞によって報われた。『海賊』は866万人を動員し、今年の公開作では興行成績4位となった。先月行われた第51回大鐘賞映画祭授賞式では堂々と主演女優賞を受賞。苦労の連続だった作品だが、ソン・イェジンは「この場に立つと、『海賊』の撮影時、体調を崩してもいいから、もっと体を酷使すべきだったのではないかと思う」という受賞コメントを残した。
演技を始めてから14年の歳月が流れた。ソン・イェジンは大鐘賞に続き、青龍映画賞でも『共犯』で主演女優賞にノミネートされた。これまで休まず走りながら流した汗と、作品の中で流した多くの涙が、受賞という形で報われるのか。ソン・イェジンの授賞式2冠が期待される。