インタビュー:リアリティーある悪役で好評のイ・ユリ

ドラマ『やって来た! チャン・ボリ』出演、異例の視聴率

インタビュー:リアリティーある悪役で好評のイ・ユリ

 声がかすれていた。8月21日、京畿道高陽市一山のMBC撮影現場。カメラが回り始めると、のどに青筋が立つ。ト書きに「きつく、毒気がある感じで」と書かれている。しゅうとめが叫ぶ。「あの女は化け物よ! しっぽが99本の女ギツネめ!」。撮影が終わった。MBC週末ドラマ『やって来た! チャン・ボリ』で悪女ヨン・ミンジョンを演じる女優イ・ユリ(34)がアイメークを直して言った。「来る日も来る日も泣きわめいていたら声が元に戻らなくて。たばこを吸っているからではないんです」

 口を開けばうそばかり。だましたり盗んだりは当たり前。今も生きている母親を死んだことにして、実の娘が行方不明になっている金持ちの家の養女になった。当然、実の娘は生きている。生まれたばかりの娘を捨て、破産した恋人が別れ話に応じないと、わいせつ犯だと言って警察に引き渡す。「声も聞きたくない」「ひっぱたいてやりたい」という視聴者の声援(?)もあって視聴率は30%前後と絶好調で、週末ドラマの王者になった。「演技性パーソナリティ障害ですよ。ここまで悪いことをたくさんすることになるとは思いませんでした」と言った後、恐ろしい言葉を口にした。「私、インターネットの書き込みを全部読んでますよ」

 富と愛のため突っ走っているが、安易な悪役は望んでいないという。「悪役がすぐ弱くなったら面白くないじゃないですか。あくどくて淡々としていて…。私の弱い姿を見たくて皆さん歯ぎしりするんでしょ」。悪役らしく見せようと、わざと目尻を上げてアイラインを引いたり、真っ赤な口紅をつけたりはしない。「行動がワルだから見た目をあえてそんな風にする必要ないでしょ」。脚本家のキム・スンオクの注文も「悪女らしくない悪女」ヨン・ミンジョン(韓国語で「哀れみの情」と同じ発音)だった。「すごく苦労するけど、結局何も得られない。かわいそうな人なんです」

 2001年、KBSドラマ『学校4』でデビューして以来、役どころはほとんどが「素直で聞き分けのいい女性」だった。「9年間くらいは片思いをする後輩役とか、清く正しい妻の役とかばかりでした」。テレビ局関係者に「あの子はいい嫁の役しかできないだろう」と小声で言われていたころだった。イ・ユリと言えば悪女になったのは、11年のMBC『きらきら光る』からだ。翌年のtvN『福寿草』では復讐(ふくしゅう)を実行するシングルマザー役を演じて視聴率5%を超え、ケーブルテレビ局のドラマとしては初めて延長放送が決まるという異例のヒットとなった。これは捨て身の演技が奏功したからと評された。アクション映画でもないのにあざだらけ。「ドラマでは私一人で大勢の人と闘うでしょ? 必死ですよ。顔つきからして違うから。手加減したらリアリティーがないでしょ」

 人気が出れば出るほど「やり過ぎではないか」という声も高まる。それについては「衝撃的なシーンを次々とお見せしなければならないので申し訳ない気持ちが強いです」と語った。12歳年上の夫もテレビをあまり見ようとしない。「夫が『これが終わったらもうちょっと優しい役をやってほしいな』って」。次は明るい役、特にコメディーがやりたいそうだ。「(KBS第2の老舗お笑い番組)『ギャグコンサート』に出てみんなを爆笑させたいです。最近笑っていませんから」

 真夜中に台本をもらい、鏡の前で「あんた、ただじゃ置かないわよ」的なセリフを言い続けて4カ月が過ぎた。悪女の最後のメッセージは「ラストはこれまでやってきた悪事の報いを全部受けてほしいです。悪いことをしてきたのでメチャクチャになればいい。私の最期をぜひ見守ってください」だった。

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チョン・サンヒョク記者
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