「えとは何ですか?」初対面の時に名乗り合い、互いの年齢を確かめる。子(ね)年(1984年生まれ)、巳(み)年、いのしし年など、えとが次々と口から出てくる。お年寄りの会話ではない。韓国で暮らす外国人たちの会話だ。秋夕(チュソク=中秋節)当日の8日に放送されたバラエティー特番『ハロー! 異邦人』(MBC)ではドイツ・米国・コンゴ・フランスなどから来た韓国在住外国人11人がゲストハウスで過ごす1泊2日間の様子を放送した。韓国での異色文化体験を中心にした同番組は全国世帯視聴率7.4%(ニールセンコリア調べ)を記録し、同時間帯1位になった。
韓国で旧正月と並ぶ年中行事の秋夕。 テレビ画面を占めていたのは外国人たちだった。今年1月1日現在で韓国在住外国人は合計160万人に上る。MBCのユ・ホチョル・プロデューサーは「サム・ハミングトン、ヘンリー、ファビアンら外国人タレントが番組を盛り上げるケースが多い。既に大きな流れができており、企画しやすかった」と話した。外国人タレントが出演する番組の傾向も、リアリティー番組に移行しつつある。肌の色がそれぞれ違う外国人たちが韓服(韓国の伝統衣装)を着てのど自慢をしたり(『全国のど自慢』『スターキング』)、外国人を集めてトークを展開したり(『美女たちのおしゃべり』)していたころからさらに進化しているのだ。それも、番組上の「スパイス」ではなく「看板」となっている。ユ・プロデューサーは「彼らは『準韓国人』だ。韓国で8年暮らしている中国人のレイは、私がパスポートを確かめたほど。韓国人タレントがいなくても十分、番組を引っ張っていけるだけの力がある。特番やパイロット版からレギュラー放送になる際、韓国人司会者がいなくても、外国人タレントだけでやっていけるだろう」と語った。
KBSは8日、予選を勝ち抜いた21カ国の出場者が優勝を懸けて韓国に関する知識で対決するグローバルクイズ番組『クイズ・オン・コリア』を、7日には3部作のドキュメンタリー番組『リアル韓国定着-異邦人』を放送した。特に『リアル韓国定着』は6月からソウル・梨泰院に相談所を設置し、韓国在住外国人約100人にインタビューして選んだ3人の韓国奮闘記だ。ドイツ人演歌歌手ロミナ、ケニア人新入社員アディ、韓国人妻の実家で暮らして5カ月になるイタリア人シェフ・ダビドの3人は全員、「韓国に骨をうずめる覚悟」をしている外国人だ。 KBSのアン・ソンジン・プロデューサーは「アディさんは名門・梨花女子大学を卒業した優秀な留学生だが、ケニアでは梨花女子大学が名門であることが知られていないため就職できず、韓国に戻ってきた。ダビドさんはレストランを開業したが、つぶれたら大変なことになる。生活者としての外国人の視点で、韓国人には見えにくい韓国の姿を見せたかった」と語った。
大衆文化評論家のハ・ジェグン氏は「以前は外国人といえば謎の存在としてテレビに出ていたが、今は韓国で暮らす一員として無視できない隣人になった。今のテレビは、これから一緒に暮らしていかなければならない外国人を理解しようという視聴者の好奇心を刺激している」と評した。江原大学のハン・ゴンス文化人類学科教授は「これまではテレビに外国人を出して韓国人が望む答えや韓国を賞賛する言葉を引き出そうという陳腐な試みが多かった。今後は外国人を通じ国内外の問題について考える番組に進化させる必要がある」と指摘している。