「漫画の韓流」 ネットにはびこるみだらな漫画

「漫画の韓流」 ネットにはびこるみだらな漫画

未成年者がスマホやSNSで容易にアクセス、親などの名義で成人認証
日本のアダルト漫画を輸入する業者に政府から支援金も

 ある女子中学生(13)は最近、ポータルサイトのフリーメールの受信箱を見て驚いた。ウェブ漫画のサイトから送られてきたメールをクリックしたところ、みだらな内容の漫画が大量に表示されたのだ。大部分の漫画は男女が抱き合ったり、女性の裸体がむき出しになったりしている。女子中学生は「見たこともないサイトから、みだらな漫画を大量に紹介するメールが来たので驚いた。友人の中にもこんなメールを受け取った人が何人かいた」と話した。

 インターネット上で読むウェブ漫画が急速に広まっている中、一部の業者が購読者を集めるため扇情的な漫画を制作し、パソコンや携帯電話のメール、ソーシャルメディアなどを通じて、未成年者までもが成人用コンテンツに容易にアクセスできる状況が繰り広げられている。

■スマートフォンでひそかに読む漫画

 2003年、ポータルサイト「ダウム」が「漫画の中の世界」というサービスを開始したのを皮切りに、ウェブ漫画はスマートフォン(多機能携帯電話端末)やタブレットPC (タッチパネル式の表示・入力部を持つ携帯可能なパソコン)などの普及とともに、ユーザー層が急速に拡大した。ウェブ漫画は海外ではあまり見られない韓国だけの独特なジャンルとして定着した。映画やゲームにも活発に活用され、これまでにポータルサイト「ネイバー」のウェブ漫画を基に制作されたアニメは37件、ゲームは10件に上る。ダウムのウェブ漫画『隠密に、偉大に』は映画化され、700万人の観客を集めた。ネイバーとダウムは韓国のウェブ漫画を活用し、海外市場への進出を図っている。

 「19禁(19歳未満閲覧禁止)」のウェブ漫画は、韓国のウェブ漫画市場が急成長する中で生じた一種の弊害だ。これはスマートフォンの普及と無関係ではない。みだらな内容の漫画はかつて、漫画喫茶や小部屋で隠れて読むものだった。ところが、スマートフォンは個人向けのツールという特徴があるため、自宅であれ勤務先であれ、さらには公共の場でも、他人の目を気にせず手軽にウェブ漫画を読むことができる。

 パソコンやスマートフォン向けに約120件のウェブ漫画を配信しているT社の場合、全体の半分以上の65件が「19禁」となっている。『○○は発情期』などといったタイトルを見ただけでも、その内容をうかがい知ることができる。これらの業者は日本のアダルト漫画もそのまま提供していた。

 原則として、未成年者はインターネットで成人向けコンテンツを見ることはできない。だが電子メールさえあれば会員になることができ、名前や性別、生年月日を入力するだけで成人認証ができるため、両親や兄、姉の名義で成人向けサイトの会員になることができる。ポータルサイトでこれらのサイトを検索すると「成人認証ID求む」という書き込みが少なくない。フェイスブックなどのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)でも、これらの業者が作成したコンテンツにアクセスできる。

 このほか、ウェブ漫画サービスを提供するL社や、電子書籍サービスを提供するR社も成人向けウェブ漫画を提供している。男性用・女性用の成人向け漫画を別々に提供し、その数が100種類を超えている業者もある。大部分は日本から輸入した漫画だが、韓国の漫画家の比率も次第に高まっている。

 最近では、政府のウェブ漫画産業育成に対する支援金を受け取った業者もある。韓国コンテンツ振興院は昨年12月、海外向けサービスを行うための環境整備やオフィスを設けるという名目で、L社に5000万ウォン(約498万円)を支援した。同社が約200人の新人漫画家を発掘し、ウェブ漫画サービスを育成するための取り組みをしていることが認められたためだが、一方で日本のアダルト漫画をそのまま提供しているのも事実だ。文化体育観光部(省に相当)は今年も、250億ウォン(約25億円)規模のファンドを創設し、ウェブ漫画を含む漫画・アニメ産業を支援する方針を打ち出した。

■未成年者への露出を食い止めよ

 ネイバーやダウムなどのポータルサイトのウェブ漫画には、成人向けコンテンツはほとんどない。ポータルサイトが手掛けていない分野を狙った業者が別個に、スマートフォンのアプリ(アプリケーション=応用プログラム)やウェブサイトを通じ、みだらなウェブ漫画を提供しているのだ。

 ウェブ漫画サービスを提供する業者は「成人向けコンテンツを無差別にばらまくというのは、あまり大きな問題ではない」と反論している。ある業者の関係者は「成人向けの多様なコンテンツを提供している中で、みだらな漫画も含まれている。このような問題を改善するため、正統派の漫画を描く人も招き、また日本のハイレベルな漫画も直接輸入、翻訳している」と話した。

 専門家たちは「みだらな漫画がスマートフォンを通じて広まり、それが未成年者に無差別に露出する状況に歯止めを掛けるべきだ」と主張している。

 淑明女子大学のト・ジュンホ教授(メディア学部)は「みだらな漫画を提供する業者に対し、政府が支援金まで出すのは問題があると思う。少なくとも未成年者が閲覧できないよう、管理・監督を強化すべきだ」と指摘した。

カン・ドンチョル記者
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