今年の夏、韓国映画界に吹き荒れた「時代劇戦争」に敗者はいなかった。先月23日からほぼ1週間置きに公開された『群盗:民乱の時代』『鳴梁』『海賊:海に行った山賊』はどれも興行的に及第点を取っている。
この3作品がヒットするかどうかは、韓国映画界と観客たちの最大の関心事だった。ショーボックス、CJ E&M、ロッテ・エンターテインメントという韓国の3大制作・配給会社が手がけた大作映画で、制作費もそれぞれ100億ウォン(約10億円)をはるかに上回る。チェ・ミンシク、ハ・ジョンウ、カン・ドンウォン、ソン・イェジンらトップスターたちが出演しており、偶然にも朝鮮時代を舞台にした時代劇だ。だが、3作品すべてが勝者になるのは難しい状況だった。
最大の勝者は当然、『鳴梁』だ。すでに過去最多観客動員記録を塗り替え、19日には通算観客動員数1500万人を突破した。普通の勝ちではなく大勝だ。だからと言って『鳴梁』と同時期に公開された『群盗』や『海賊』が大敗したということではない。『鳴梁』より1週間早く公開された『群盗』は18日までで486万人を動員、損益分岐点(観客470万人)を超えた。『鳴梁』より1週間遅く公開された『海賊』は興行惨敗が予想されたが、公開12日目で400万人を突破した。『群盗』は善戦したと言えるし、『海賊』にはまだ勝機が残っている。
同時期に公開された時代劇3作品がすべて400万人を上回ったのは予想外のことだった。しかし、夏の映画市場が拡大し、観客が分散する素地があった。映画振興委員会によると、7月全体の映画館入場者数は1987万人で、昨年同期比で105万人増だった。
しかし、それよりも何よりも、3作品とも時代劇でありながら一味違ったものを目指していた。『群盗』はアクション活劇、『鳴梁』はシリアスな戦争物、『海賊』はコメディーに近い冒険物だ。観客はそれぞれの好みに合ったものを見て満足できた上、ほかの作品を見ても既視感がなく、飽きないようになっているということだ。