今夏の韓ドラはホラーよりロマコメ

ホラー物より制作費少なく20-30代女性つかむジャンルへ

▲tvNドラマ『恋愛じゃなくて結婚』=写真左=、KBSドラマ『猫はいる』=同右=
▲ ▲tvNドラマ『恋愛じゃなくて結婚』=写真左=、KBSドラマ『猫はいる』=同右=

 幽霊が消えた。毎年夏になると各テレビ局が必ず1本は放送するのがホラー物や心霊ドラマだ。ところが、今年の夏は地上波テレビ局だけでなくケーブルテレビ局でも、幽霊や超常現象などを描いたドラマを放送したり、放送を予定したりしているところは今のところない。幽霊が消えたテレビ画面には、青春真っ盛りの若い男女がわいわいガヤガヤするロマンチック・コメディーや米国ドラマであふれている。

 ホラー物が消えたのはコストパフォーマンスが良くないからだ。韓国で心霊ドラマと言えば時代劇が多く、有名な妖怪「九尾狐(クミホ=九尾の狐)」や幽霊などをそれらしく表現するにはコンピューターグラフィックス(CG)や特殊効果が欠かせない。そのため制作費は増える一方だが、それに比べ視聴率は期待されたほどでないことが多い。2009年にKBSは『伝説の故郷』、MBCは『紅の魂~私の中のあなた』という心霊ドラマを放映したが、視聴率は1けた台のまま終了した。それ以来、『伝説の故郷』シリーズは消え、MBCもホラー物を制作しなくなった。

 昨年までは単発ドラマの形でホラー物を放映していたKBSの局長級幹部は「今年はまだ心霊ドラマの計画はない。制作費の負担が大きいし、若い層の視聴パターン変化を考慮した」と語った。

 だからと言って需要がゼロになったわけではない。そうした需要は完成度の高い米国のホラードラマや犯罪捜査物にシフトする傾向にある。映画・海外ドラマ専門チャンネルOCNのミン・チャンホン編成プロデューサーは「夏は梅雨や夏休みなどがあるため、視聴率は全体的に平均1-2%以上アップする。特に『NCIS~ネイビー犯罪捜査班』『キャッスル~ミステリー作家は事件がお好き』といった犯罪捜査物やサスペンス物の需要が大きい」と言った。

 ホラー物の代わりにテレビ番組表を埋めたのはロマンチック・コメディーだ。KBSの夜の帯ドラマ『猫はいる』はチェ・ユニョンやヒョヌといった新進俳優を起用したロマンチック・コメディーだが、視聴率20%を越え絶好調だ。7月のインターネット・ビデオ・オン・デマンド(VOD)サービス「tving」で1位になったtvN『恋愛じゃなくて結婚』もロマンチック・コメディーだ。チョ・インソン&コン・ヒョジン出演のSBS『大丈夫、愛さ』、チャン・ヒョクとチャン・ナラが久しぶりに共演しているMBC『運命のように君を愛す』も同じだ。

 ロマンチック・コメディーの増加はホラー物の減少と表裏一体の関係にある。ロマンチック・コメディーは現代ドラマが多いので間接広告(PPL)が入れやすく、制作費の負担が少ない。その上、ドラマの主な視聴層である20-30代女性の支持が確実に稼げるジャンルだから、視聴率で惨敗するケースはほとんどない。ドラマ評論家のユン・ソクチン氏は「今年は旅客船『セウォル号』沈没事故などがあった反動で、一般視聴者はテレビで明るく軽めのドラマを求める傾向がある。このため、ホラー物ではなくロマンチック・コメディーが勢いを増しているのでは」と見ている。

権承俊(クォン・スンジュン)記者
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