このほど仁川市江華郡にある静かな島「喬桐島」に魅力が一つ加わった。7月1日に島へとつながる連絡橋「喬桐連陸橋」が正式に開通し、陸路で島に渡れるようになったのだ。船の便を気にする必要がなくなった喬桐島に足を伸ばし、美しい景色を見に行こう。
仁川の江華島を過ぎて喬桐島に向かう道に差し掛かると、入り口に軍人が立っている。突然現れる軍人に戸惑ってはいけない。喬桐島は民間人統制区域の北方地域に位置しており、一般人の立ち入りを制限しているのだ。
だが、案内に従って立ち入り申請書(氏名、行き先、連作先、立ち入り期間、車両ナンバー)を提出し、喬桐地域への臨時立ち入り許可証を発給してもらえばよい。ただし、時間は日の出の30分前から日没後30分までに制限される。
立ち入り許可証を発給してもらったら、全長3.44キロ、幅13.85メートル、往復2車線の喬桐連陸橋を渡って喬桐島に入る。これまでは喬桐島に車で行く場合、フェリー運賃が往復3万6000ウォン(約3500円、車両込み)だった。
橋を渡ると最初に現れるのが、釣り愛好家に人気の「古亀貯水池」。網いっぱいになるほど魚が釣れるこの貯水池は、週末になると大物を狙う釣り人たちで大にぎわいだ。特に、季節を問わずフナがよく釣れるとして注目を集めている。
貯水池を後にし、次は「テリョン市場」に向かう。この市場は、北朝鮮側の黄海道延白郡から買い物に来たまま戻れなくなった失郷民(北朝鮮に故郷を持つ人々)たちが立ち上げた市場だ。島内で最も栄えているが、この場所では全てが過去のまま、時間が止まったように感じる。
全長400メートルほどの市場は、週末になると住民より多くの観光客で混雑する。床屋、精肉店、雑貨屋などが並ぶ狭い路地…。「喬桐理髪館」「ヨンウンモーター」「チャンピオンチキン」などの古びた看板は、あか抜けない感じだが実に味わい深い。
市場の次は「喬桐邑城」だ。邑城とは、郡や県の住民を守り、軍事的・行政的な機能を併せ持った城郭のこと。かつて喬桐邑城は地域全体を囲んで外敵の侵入を防ぐ役目を果たし、ところどころに設けられた門から出入りするようになっていた。
東・南・北の3カ所に城門が設置されていたが全て消失して現在は半円形の虹霓門だけが残っている。この虹霓門はまるで周辺の家の門のように立っている。また、かつてこの地域を守っていた喬桐邑城の城郭は現在も堂々とかつての姿を残している。
喬桐邑城の次は、喬桐島で最も有名な「喬桐郷校」を見に行こう。中国と地理的に近い喬桐島は、かつて海上交通の要所として利用されていた。当時、中国の船が初めて停泊した場所に喬桐郷校を建て、儒教の創始者である孔子の肖像をまつった。
現在、喬桐郷校は毎月2回(陰暦の1日、15日)、郷土文化の保存と発展について話し合う会合に使われている。また、5人の聖人(孔子、顔子、曽子、子思子、孟子)や宋朝二賢(程子、周子)、韓国の18賢(李滉〈イ・ファン〉、李珥〈イ・イ〉、鄭夢週〈チョン・モンジュ〉、崔致遠〈チェ・チウォン〉、宋時烈〈ソン・シヨル〉ら)の位はいがまつられている。見学する場合は、建物横の案内所に声を掛ければよい。
車で古亀貯水池、テリョン市場、喬桐邑城、喬桐郷校を巡ったら、島で最も高い華蓋山(標高259.6メートル)に登ってみよう。登山ルートは三つ。中でも喬桐面事務所(地域住民センター)の裏から登るルートは、初心者でも登りやすい。
頂上までは約1時間。登山道には朝鮮王朝第10代国王・燕山君が幽閉生活を送った「燕山君幽閉地」や、朝鮮王朝後期から使われていたとみられる「汗蒸幕(蒸し風呂)」、敵の侵入を防ぐために建造された「華蓋山城」など歴史の痕跡に触れることができる。また、木の生い茂った山林の中を歩いていくと、フィトンチッドと呼ばれる森の香りを全身で感じることができる。
頂上から南を見下ろすと周辺の島々が見え、北の方角には北朝鮮が見える。頂上から北朝鮮までは約7キロで、晴れていればはっきりと見渡せる。
喬桐島をもっと詳しく知りたいのなら、江華ナドルギル(遊歩道)に沿ってドライブを楽しんでみよう。ナドルギルは江華島周辺に19コースある。喬桐島コースは、江華ナドルギルのホームページの第9コース、第10コースを参照してほしい。