自然がいっぱい、夏は智異山の渓谷へ

 「夏」という言葉を聞くと、それだけでワクワクする。日差しの降り注ぐこの時期になると、音楽プレーヤーの再生リストに絶対に入れたい曲がある。「旅に出よう」だ。

 「青い丘にリュックを背負って(中略)やまびこが聞こえる渓谷の中/流れる水を探し/そこに旅に出よう」。この歌詞のように、この夏は暑さを避けてとびきり涼しい渓谷に行ってみるのはいかがだろう。

 慶尚南道にある智異山は、見事な自然と涼しい渓谷のある最高の避暑地だ。智異山には特色のある渓谷が多いが、中でも最も有名な三つの渓谷を訪れてみた。

 『私の文化遺産踏査記』の著者、ユ・ホンジュン教授はこの場所を「平たい岩に腰掛けて渓流に足を浸し、木々の間から空を見詰め、人生の長い旅路を振り返る時間が持てたなら、これ以上の幸せはない」と表現した。このように、約12キロにわたる大源寺の渓谷は、涼しげな水の音と木の枝を揺らす風の音、小鳥のさえずりなどが響き渡り、自然のありのままの姿を今に伝えている。
▲  『私の文化遺産踏査記』の著者、ユ・ホンジュン教授はこの場所を「平たい岩に腰掛けて渓流に足を浸し、木々の間から空を見詰め、人生の長い旅路を振り返る時間が持てたなら、これ以上の幸せはない」と表現した。このように、約12キロにわたる大源寺の渓谷は、涼しげな水の音と木の枝を揺らす風の音、小鳥のさえずりなどが響き渡り、自然のありのままの姿を今に伝えている。

■韓国3大渓谷、智異山の「七仙渓谷」

 慶尚南道咸陽に位置する七仙渓谷は、雪岳山(江原道)の仙仏洞渓谷、漢拏山(済州島)の耽羅渓谷と並び、韓国3大渓谷に挙げられる。智異山の天王峰を起点に約18キロ続くこの渓谷は、手つかずの原生林が生い茂っていることで有名だ。

涼しげなせせらぎと見事な自然の景色が楽しめる七仙渓谷。夏の避暑地として最適だ。
▲ 涼しげなせせらぎと見事な自然の景色が楽しめる七仙渓谷。夏の避暑地として最適だ。

 七仙渓谷は常時出入りのできる区域と特別保護区域に分けられている。常時出入り可能な区域は駐車場からピソンダムまでの約4.3キロの区間、特別保護区域はピソンダムから天王峰までの5.4キロの区間だ。特別保護区域は事前予約制で、ガイドと一緒に入らなければならない。

 渓谷に行くには、傾斜の急な舗装道と砂利道を登ることになる。暑さで汗が滝のように流れるが、近くを流れる渓谷のせせらぎが暑さを忘れさせてくれる。

透明感や爽やかさが味わえる渓谷の景色。
▲ 透明感や爽やかさが味わえる渓谷の景色。

 それでも暑さが引かなければ、しばし渓谷の水に足を浸してみよう。この渓谷は透明度が自慢だ。渓谷をぼーっと眺めていると気分まで爽やかになってくる。

大源寺渓谷はうっそうと生い茂る松林の中にあり、水墨画のような景色を見せてくれる。
▲ 大源寺渓谷はうっそうと生い茂る松林の中にあり、水墨画のような景色を見せてくれる。

■ひっそりと静かな「大源寺渓谷」

 次に訪れたのは、慶尚南道山清9景の一つ、大源寺渓谷だ。ここは蔚山の石南寺、忠清南道礼山郡の徳崇山と並び、韓国の代表的な比丘尼(女性の出家修行者)参禅道場として知られている。渓谷は、うっそうと茂った松林や寺と調和して、まるで水墨画のような風景をつくり出している。

 『私の文化遺産踏査記』の著者、ユ・ホンジュン教授はこの場所を「平たい岩に腰掛けて渓流に足を浸し、木々の間から空を見詰め、人生の長い旅路を振り返る時間が持てたなら、これ以上の幸せはない」と表現した。このように、約12キロにわたる大源寺の渓谷は、涼しげな水の音と木の枝を揺らす風の音、小鳥のさえずりなどが響き渡り、自然のありのままの姿を今に伝えている。

大源寺渓谷に向かう途中にあるパムモリ峠は、紅葉がきれいなドライブコースとして有名だ。
▲ 大源寺渓谷に向かう途中にあるパムモリ峠は、紅葉がきれいなドライブコースとして有名だ。

 ■空まで届く「中山里渓谷」

 最後に訪れたのは中山里渓谷。ここは智異山の最高峰、天王峰から流れる渓谷で、登山愛好家たちが多数訪れることで有名だ。渓谷は浅く流れが緩いため、夏は大勢のファミリー客が水遊びに訪れる。

 渓谷の上流は、ほかの渓谷では聞けないような水の音が聞こえる。大小の岩の間を勢いよく水が流れる音だ。流れが強いため上流への立ち入りは禁止されている。

大小さまざまな岩が特徴の中山里渓谷。岩の間を水が流れる様子が美しい。
▲ 大小さまざまな岩が特徴の中山里渓谷。岩の間を水が流れる様子が美しい。

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