アイドルグループBIGBANGのメンバー、SOL(26)=本名:トン・ヨンベ=はモーツァルトの存在により埋もれてしまったサリエリ同様、リーダーG-DRAGON(25)=本名:クォン・ジヨン=の存在が強くて目立たない「ナンバー2」の印象が強かった。しかし、サリエリが音楽史に足跡を残した音楽家だったように、SOLもソロ活動で自分自身の領域を築いた。激しくダンスしながらも呼吸やリズムがほとんど乱れない。だが、このほどリリースされた2ndソロアルバムでは、静かに立ったまま歌うスローテンポの「EYES, NOSE, LIPS」をリード曲に掲げた。その理由が知りたくて、SOLに6月12日インタビューした。
-ステージで踊らずに歌うのは初めて見た。
「以前は自分が得意な曲を前面に出していました。そうしたらファンは喜んでくれるけど、(それにとらわれて)新しいチャレンジができなくなった気がして。ボーカルに集中したかったし、もっとポピュラーなイメージも出したかったんです」
そう語るのを聞いて、アイドルが大衆性の心配をしているということが不思議に思えた。
-これまでの曲が大衆的でなかったということか。
「2010年に1stソロアルバムを出したときは、米国のアンダーグラウンドR&Bにハマっていました。フランク・オーシャンみたいに冷たくて暗い感じのサウンドがベースになった黒人音楽がしたかったんです。今回の2ndソロアルバムリリースに当たり、そういう方向で作業を進めていたら、会長(ヤン・ヒョンソクYGエンターテインメント代表)に「ポピュラー性がなさ過ぎる」と言われました。それでできたのが新しい曲です」
これが、2ndソロアルバムのリリースまで4年もかかった理由だ。1stではR&Bダンスやエレクトロニック、ソウル中心だったが、2ndではブリットポップ風の「こんなはずじゃないのに」や、エフェクターを使ったボーカルとスローテンポのポップサウンドがマッチした「Stay with me」のように多彩なジャンルの曲が収録されている。SOLは「ブリットポップを僕が歌ったらちょっと違う感じが出せると思ったけれど、100%満足しているというわけではありません」と語った。
-音楽的にはG-DRAGONの方が注目されている。ソロミュージシャンとしての意欲があるように見えるが。
「ジヨンはプロデューサーのイメージが強い気がします。僕は主にパフォーマンス型のアーティストとして活動してきました。このアルバムを出してからは音楽的な方向性についていろいろ悩みましたが、結局僕は音楽を歌と体で表現するのが好きなんです」