自転車でめぐるも良し、「牛浦沼」でのんびり散歩

 牛浦沼は韓国で最も大きな自然湿地だ。面積は2.3平方キロ(約2500万坪)。どれだけ大きいかというと、慶尚南道昌寧郡游漁面・梨房面・大合面・大池面という四つの行政区域にわたっているほどだ。また、ここでは約1億4000万年前の生物の化石も発見されるなど、太古の痕跡を今に伝えている。

 こうした生態学的な価値はもちろんだが、ありのままの風景も美しい牛浦沼は、秋になると渡り鳥や葦(あし)、荻(おぎ)でにぎわう。

牛浦沼を一回りするには、歩くよりも自転車に乗るのがオススメだ。
▲ 牛浦沼を一回りするには、歩くよりも自転車に乗るのがオススメだ。

 牛浦沼を楽しむには、沼を囲むように造られている「探訪コース」を歩くのもいいが、自転車で行くのも気持ちがいい。ただし、自転車を飛ばしすぎると渡り鳥たちが驚いてしまうので、下り坂でもゆっくり走る心配りが秋には必要だ。

 自転車で行くなら、出発前の準備として牛浦沼案内所で探訪コースが載っている地図を手に入れるのをお忘れなく。自分の自転車を持ってきたなら即出発! 自転車がないならレンタル受付所へGO! ここでは好みや目的に応じて一般的な自転車のほか、2人乗り用の自転車もレンタルできる。レンタル料は 2時間で1人用3000ウォン(約300円)、2人用4000ウォン(約400円)だ。

 さあ、牛浦沼探訪のスタート。牛浦沼の入り口を通り、道なりに下っていくと、道が左右に分かれる。

自転車第1コースにあるアカメヤナギ(写真上)と、渡り鳥(同左下)を目の前まで近づいて観察する人々(同右下)。
▲ 自転車第1コースにあるアカメヤナギ(写真上)と、渡り鳥(同左下)を目の前まで近づいて観察する人々(同右下)。

 地図で確認すると分かるが、左は展望台・渡り鳥観察台を通ってチョクチ原の入り口までつながる自転車第1コースになっている。このコースの良いところは、牛浦沼を間近で見ることができること。スピードを出しすぎないように気を付けて自転車をこいだり、ちょっと自転車から降りて歩いたりすれば、すぐ目の前で水の上に悠々と浮かぶ渡り鳥に出会える。

 このように沼の自然に目を向けると、アカメヤナギ群落にも遭遇する。沼に根を下ろし、しっかりとした枝が空に向かってぐんと伸びているアカメヤナギは、牛浦沼がきれいで栄養たっぷりであることを物語っている。

自転車第2コースは、牛浦沼の全景をバックに渡り鳥の姿が楽しめる。
▲ 自転車第2コースは、牛浦沼の全景をバックに渡り鳥の姿が楽しめる。

 牛浦沼に目線を合わせて楽しめるのが第1コースの良いところだとすれば、第2コースは全景鑑賞がポイントだ。大垈堤防から沙旨浦入り口に至るまでのコースでは、左に牛浦沼を埋め尽くす渡り鳥を見ることができる。

 秋の牛浦沼にはトキ、ヘラサギ、オオハクチョウなどの天然記念物やタゲリ、ヒシクイ、トモエガモなどが、やがてやって来る冬に備えている。運が良ければ渡り鳥の群舞も見られる。また、右側には大垈村の美しい田畑も広がっている。

牛浦沼で冬支度をする渡り鳥たちの姿。
▲ 牛浦沼で冬支度をする渡り鳥たちの姿。

 自転車第1コース(1.3キロ)と第2コース(1.4キロ)の両方を回るには2-3時間あれば十分だ。コースの一番先には「自転車折り返し点」の標識があるほか、沼の水位が上がると立ち入り禁止になる場所もあるのでご注意を。

 また、沼側とはまた違った趣を自転車で楽しみたい方には、林探訪コースもオススメだ。自転車を抱えて林探訪コースに至る階段を登ると、沼は見えなくなり松林が広がる。松のフィトンチッドを浴びて自転車で山道を走れば森林浴になる。この道は山道なので、一般の自転車よりもマウンテンバイクの方が向いている。

一味違った牛浦沼めぐりができる林探訪コースの様子。
▲ 一味違った牛浦沼めぐりができる林探訪コースの様子。

 牛浦沼生態探訪を極めたい方は、入り口にある「牛浦沼生態館」に行くと完ぺきだ。この生態館では牛浦沼に生息するさまざまな湿地野生動物や自然生態を紹介・展示している。

■1億4000万年、太古の神秘「牛浦沼」

 牛浦沼は1988年3月に国際ラムサール条約に登録され、99年2月に環境部(省に相当)から湿地保護地域に指定された。また、2011年1月には天然保護区域に指定・保護されている。牛浦沼は多くの動植物にとって憩いの場であり、生活を営む基盤となっている。最近は開発で生態系の破壊が進んでいるが、そうした中でも天の恵みである自然を保っている。

牛浦沼の入り口にある「牛浦沼生態館」
▲ 牛浦沼の入り口にある「牛浦沼生態館」

※関連情報
-所在地:慶尚南道昌寧郡游漁面牛浦沼道220 (世津里)
-お問い合わせ:牛浦沼管理事業所(055-530-1553)、牛浦沼生態館(055-530-1551)
-牛浦沼生態館利用時間:9:00-18:00(入場券販売は17:00まで、毎週月曜日休館)
-ホームページ:http://www.upo.or.kr/main/

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