「ピンクの桜と広大な青い海、慶尚南道がこんなに美しい所だなんて知らなかった」「ト教授(中国でも人気を集めた韓国ドラマ『星から来たあなた』の主人公)のおかげで慶尚南道が好きになった」「ドラマに出てくる景色を実際に見たが、本当にきれい」「慶尚南道最高」
今月9日、慶尚南道南部の巨済島沖に浮かぶ「外島」を訪れた中国人観光客の言葉だ。中国人たちはこの日、同道の泗川空港から韓国に入国した。
昨年10月に中国で新旅行法が施行されて以降、中国人の個人旅行客が増加していることを受け、慶尚南道は中国人観光客のため、チャーター便の運航に乗り出した。泗川空港と中国の上海浦東国際空港を往復するこのチャーター便は、9日と10日の2回にわたり、計300人余りの中国人を乗せて慶尚南道に到着した。
9日午前10時40分。上海を離陸した吉祥航空所属の旅客機(定員157人)が空港に到着すると、韓国の民俗芸能の公演が始まった。入国する中国人観光客たちは、楽団の演奏に明るい笑顔で応えた。この日、慶尚南道と泗川市は、中国人観光客のために花束や記念品の贈呈などの歓迎行事を行った。
行事が終わると、中国人たちは本格的な観光に出発。泗川、巨済をはじめ、統営、固城、昌寧、金海、昌原などを巡るスケジュールだった。
■桜吹雪のトンネル「船津里城」
空港を出た中国人観光客が向かったのは、泗川市の船津里城。李舜臣(イ・スンシン)将軍が初めて亀甲船で日本を破った歴史的な場所として有名だ。城までの道はソメイヨシノのトンネルになっている。バスで桜のトンネルを通った一行は、風に舞い散る桜を見て「きれい」と歓声を上げていた。
ちょうどこの期間は、泗川市の代表的な春祭り「臥竜文化祭」の準備の真っ最中だった。10日から3日間にわたって開催された臥竜文化祭では、公演や展示、体験コーナーなどのさまざまなプログラムが実施された。バスを降りた中国人たちは、桜の花や文化祭の会場を写真に収めていた。
見学を終えると、一行は近くのレストランでソコギジョンゴル(牛肉の鍋)を味わった。鍋にたっぷり入った牛肉と春の野菜は、見ているだけで元気になれそうだ。中国人たちはスプーンで料理を味わいながら「中国の鍋料理よりおいしい気がする」と話した。
■『応答せよ1994』のロケ地「三千浦大橋」
食事を終えた一行は、バスで「三千浦大橋」を巡った。窓の外に広がる南海(東シナ海)は、中国人の視線を引き付けるのに十分だった。ここ三千浦は春になると黄色い菜の花が一面に広がり、見事な風景を織りなす。膝丈まで伸びた菜の花の向こうには三千浦大橋が見え、異国情緒たっぷりだ。また、青い海に島々が点在する風景は、まるで一枚の絵のようにも見える。
三千浦大橋を見学した中国人たちは「ドラマ『応答せよ1994』で三千浦のことを知ったが、こんなにきれいな橋があるなんて知らなかった。本当に美しい場所だ」と話した。
■幻想の島「外島」
初日の最後に一行が向かったのは、巨済市の外島にある観光植物園「外島ボタニア」だ。「ボタニア」は「植物(ボタニック)」と「天国(ユートピア)」の合成語で「植物の天国」を意味する。長承浦船着き場に到着した一行は、次々と遊覧船に乗り込んだ。
この島はまるで全体が庭園のようになっている。まず、入り口では熱帯地方のヤシの木が観光客を出迎えてくれる。その間の小道を抜けていくと、さまざまな植物に出会える。特に、色とりどりのチューリップに中国人たちは目を奪われていた。一行はチューリップをバックに個性あふれるポーズで写真を撮っていた。
観光客の一人、コ・ジョンジョンさん(28)=上海在住=は「韓国ドラマ『冬のソナタ』と『星から来たあなた』を見て慶尚南道のことを知った。ドラマの中の美しい風景を実際に見ることができて、本当にうれしい。機会があればもう一度友人と一緒に来たい」と話した。
2日目、一行は韓国で「今年の観光都市」に選ばれた統営市を訪れ、閑麗海上展望ケーブルカー、トンピラン村、恐竜の国「固城」などを訪問した。
3日目には昌寧にある温泉レジャー施設「釜谷ハワイ」、金海のロッテ・プレミアム・アウトレットを訪問。4日目には昌原市鎮海一帯で桜を鑑賞した。最終日の5日目は、午前中に泗川空港を出発して中国に帰国した。
慶尚南道のチェ・ユンオク課長は「昨年10月に中国で新旅行法が施行されて以降、自由旅行客が増えている。今後、慶尚南道は泗川空港の国際化、韓流観光、ウエディング観光、医療観光などを開発し、海外から多くの観光客を誘致する予定」と説明した。
今回の観光用チャーター便の就航は、慶尚南道が今年1月に中国・上海の旅行会社と締結した観光チャーター機交流協約に基づくもの。慶尚南道はこれまで、中国人旅行者のアクセス面での利便性向上、観光産業を通じた地域経済活性化などに取り組んできたが、同道のこうした積極的な努力が実を結んだ格好だ。