インタビュー：SJキュヒョン「悪口言われ成長した」

　アイドルグループSUPER JUNIORのメーンボーカル、キュヒョン（25）は悪口を浴びながらミュージカル・デビューを果たした。2010年にキュヒョンが『三銃士』のダルタニアン役を演じると報じられると、ミュージカル・ファンたちはまゆをひそめた。

　「誰？　SUPER JUNIOR？　え？　あんな子がミュージカルに出るの？」。アイドルがミュージカルに出演することがあまり一般的でなかったころだ。「ミュージカル・ファンの95％に悪く言われた。あとの5％は無関心だった。インターネットにアップされたありとあらゆる悪口をわざわざ読んだ。『ああ、こんな風に考えている人もいるんだな』と思ったり、ファンサイトを開いて『ファンでいてくれる人もいんだな』と慰められたり。悪口の中でも一理あると思ったことについては演技に反映させた。『見てみたらけっこう良かったよ』というコメントが付くまで変えていく喜び、音楽がくれた楽しみだ」

　レオナルド・ディカプリオ主演映画をミュージカル化した『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』（2012年）に続き、『太陽を抱く月』で主人公イ・フォン役を演じるキュヒョンに先日、ソウル市鍾路区内のリハーサル室で会った。大作ミュージカルと言えばアイドルの1人や2人出ているのが普通になったが、キュヒョンはその中でも「できる」アイドルだ。ミュージカル出演アイドルの一部が過剰評価され、マーケティング・ツールとしてのみ利用されているのとは違い、キュヒョンは公演を見る楽しみを与えてくれる。

　「『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』初演を見たよ」という記者の言葉に、キュヒョンは「え？　あれをご覧になったとは。本当にメチャクチャだったのに」と話し、真っ青になった。確かに、ものすごく出来がいいとは言えなかった。最後のソロ「Good-Bye」を歌うときは会場が一瞬、キュヒョンのソロコンサート会場になった。自分自身を消して役になり切らなければ役者としては落第だ。しかし、ソロで大劇場のステージを引っ張っていける才能はどんなアイドルよりも際立っていた。

　今日のキュヒョンがあるのは、ミュージカル・デビュー作『三銃士』の最初のリハーサルで「悪口の洗礼」を浴びた経験があるからだそうだ。もともとキュヒョンはダルタニアン役に指名されたわけではなかった。「SUPER JUNIORの誰か」なら良かったのだ。そのチャンスを見事につかんだが、キュヒョンは「歌手としてこれ以上見せられるものがなかったときだった。自分の中の何かを見せるチャンスが来たと思って全てを賭けた」と話す。

　全てを賭けてみたものの、歩き方から話し方まで何一つできていなかった。父親の墓を見て「銃士になる」と誓う最初のシーン。「こみ上げて来る感情を見せて」と演出家ワン・ヨンボムに注文されたが、なぜ感情がこみ上げて来なければならないのか理解できず、どうしていいか分からないまま2時間も迷っていた。耐えかねたワン・ヨンボムはアンサンブル（複数の脇役を交代でこなす俳優）30人に指示した。「みんなで一斉にキュヒョンのことを悪く言って」。四方八方から浴びせられる、グサリと来るような言葉を1時間近く浴びているうちに涙が出た。キュヒョンは「完全に一皮むけた感じがした」という。悪口を言われながら成長したからこそ「アイドルはちょっとくらい悪く言われた方がいい」と語った。「当然、甘んじて受け入れなければならないこと。ほかの役者さんたちが一歩一歩登ってきたステップを経ずに、すぐに主役を演じられるのはアイドルであるおかげだから」

　『太陽を抱く月』はキュヒョンにとって初めてのオリジナル・ミュージカルだ。ひな形があるライセンス作品とは違い、直したり付け加えたりを繰り返していく。週の半分を海外で過ごすアイドルの「超ハードスケジュール」では、稽古参加が難しいこともある。役者の中にアイドルを白い目で見る人がいるのはそのためだ。キュヒョンは「今回はとにかく午前10時から午後10時まで稽古場にいようと思っている。いつも公演時に唱えているおまじないの言葉を、今回は普段よりたくさん唱えている」と語った。その「おまじないの言葉」とは「あの大勢の観客の中に僕のファンはいない」というものだ。「冷静なミュージカル・ファンしかいない場所で演技に対し拍手をしてもらいたい」。その夢が実現するかどうかは、18日から上演される『太陽を抱く月』で分かるだろう。

　ミュージカル『太陽を抱く月』は18日から2月23日まで、芸術の殿堂CJトウォル劇場で上演される。

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