【記者手帳】イトゥク一家心中と大手芸能プロのうそ

いったい何を守ろうとしているのか?

 6日夜、インターネットのポータルサイトに人気アイドルグループ「SUPER JUNIOR」のリーダー、イトゥクさん(30)=本名:パク・チョンス=の父親と祖父母が死去したという芸能メディア発信の記事が掲載された。ほかのメディアは一斉にイトゥクの所属事務所であるSMエンターテインメント(以下、SM)関係者の話として「イトゥクの父親と祖父母は車に同乗して交通事故に遭い、全員死亡した」と報道した。

 だが、不思議なことにこの「交通事故」が発生した時刻・場所を書いた記事は一つもなかった。SM関係者の話の通りなら、一家3人が同じ日に死亡するほど大きな交通事故が起こったはずだが、その実態は全く報道されていない中、熱狂的なファンを中心に「殺人トラックの運転手が事故を起こした」などのうわさが広まり始めた。さらに、ソウル市麻浦区に住む人物(32)が容疑者として名指しされ、一時この人物の個人情報がネット上にさらされた。

 ところが本紙の取材の結果、これは一家心中事件であり、現場は道路ではなくイトゥクさんの父親の自宅だったことが分かった。事件の経緯が間違って伝えられた原因について、7日にSMに問い合わせたところ「最初に誰がそんなことを言ったのか分からない。当方で『交通事故』と言ったことはない」との回答があった。しかし「SM関係者が交通事故という言葉を出した」という内容の芸能メディア記名記事を見せて説明を求めると、「電話が数百本かかってきたため余裕がなかった。交通事故であるかのように聞こえるニュアンスの言葉を発した可能性はある」と間違った情報を提供したことを認めた。

 事務所が悲劇的な状況にある所属歌手をかばおうとする心情は理解できる。だが、事実をねじ曲げて別のことに装うのは明らかなうそだ。自他共に認める韓流アイドルブームの立役者であり、時価総額9000億ウォン(約900億円)という店頭市場コスダック第10位の企業が、一晩すれば明らかになる事実を隠し、見え透いたうそをつくとは失望した。ファンや国民に接する正しいあり方を学び直す必要があるだろう。

社会部= ウォン・ソンウ記者
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c)Chosunonline.com>
関連ニュース