複数の女性芸能人が関与しているとされる大規模な売買春事件について捜査している検察は、有名タレントのAさんが、自営業の男性から計5000万ウォン(約490万円)を受け取り、3回にわたって売春行為をしていた事実を確認した、と19日発表した。また、この事件に関与したブローカーは、一部の女性芸能人を中国に派遣し売春させていたことが分かった。だが、Aさん以外には、インターネット上でリストが出回った芸能人の中に、売春に関与した人はいないことが分かった。このため、今回の売春事件の捜査について、検察内部でも批判する声が出ている。捜査のやり方に問題があっただけでなく、メディアの報道への対処も誤ったというわけだ。
水原地検安山支部の安秉翼(アン・ビョンイク)次席検事は19日、今回の事件の捜査結果について、売春をあっせんしたブローカー1人、売春行為をした女性9人、相手の男性2人の計12人を起訴した、と発表した。このうちブローカーと、Aさんの相手となった男性1人については在宅起訴し、売春行為をした女性9人と相手の男性1人は略式起訴した。検察によると、出頭を求め事情聴取を行った対象者は計20人に上ったという。だが検察は「インターネット上でリストが出回り、検察や警察に捜査を依頼した、タレントのへリョンさん、女優イ・ダヘさん、ユン・ウネさん、歌手シンジさんなどは、事件と全く関係がない」と説明した。また、事件に関与したとされた女性芸能人2人については「捜査の対象になったが、犯罪事実は認められなかった」と述べた。
検察によると、売春に関与した女性たちの大部分は、テレビドラマや映画に出演した経験のある20-30代の芸能人で、風俗店の従業員はいなかったという。女性たちは相手の男性たちから、1回に300万-2000万ウォン(約29万-196万円)を受け取っており、検察は被疑者の供述や銀行口座の調査などを通じ、犯罪事実を確認したとのことだ。
このうち、Aさんは2010年2月から3月にかけ、40代の自営業の男性(在宅起訴)から計5000万ウォンを受け取り、3回にわたって性的関係を持っていたことが分かった。また、略式起訴されたほかの女性8人は、10年11月から11年9月にかけ、主に中国で外国人男性に対し売春行為をしていたという。
女性たちを紹介したブローカーは30代後半のスタイリストで、検察は今年8月、2回にわたって逮捕状を請求したが、裁判所は「犯罪事実の立証が不十分」として却下していた。また、検察は今回の売春事件で、有名な芸能人1人(Aさん)を略式起訴したが、ほかの芸能人については、出頭を求めたか否かについて明らかにしていない。結局、検察は犯罪事実について十分な証拠を確保できないまま、根拠のないうわさだけを広める結果を招いた。検察の関係者は「売買春事件の場合、当事者らが否認すれば捜査が暗礁に乗り上げるため、完璧な証拠を確保しなければならないが、今回の事件は証拠や供述を確保する上で、ずさんな点がかなりあった」と指摘した。
先週、この事件についてメディアが報じた後の検察の対応にも問題があった、と指摘する声も出ている。検察は今年8月、ブローカーに対する逮捕状を2回請求しながらも却下され、事実上、先週には捜査が終了していた状態だった。ところが検察は、事件についてメディアが報じた後、事実の有無を確認しようとした記者たちに対し「捜査中の事件であるため確認できない」と答えたため、疑惑がさらに広がる結果になった。検察幹部の間でも、このような対応について「理解できない」との反応を示しているという。とりわけ、金鎮太(キム・ジンテ)検事総長は「疑惑が広がることで、名誉を傷つけられる人が出てこないようにすべきだ」と苦言を呈したという。