韓国歌謡界で相次ぐ盗作疑惑 無分別な指摘に反発も

【ソウル聯合ニュース】韓国歌謡界が盗作疑惑に揺れている。

 今年、上半期にリリースされた歌手ロイ・キムの「春春春」(原題)やIU(アイユー)の「ピンクの靴」(原題)など、今年だけでも盗作疑惑が持ち上がったのは数曲に上る。

 外国の曲に日常的に接する環境でネットユーザーが盗作の疑惑を提起し、その内容がメディアで報じられ盗作の真偽が判明しないまま「盗作作曲家」や「盗作曲」というレッテルを貼られる事例が後を絶たない。

 真偽が問われず、うわさだけが広まっていく実態を調べた。

◇多くは「盗作ではない」と反発

  MBCのバラエティー番組「無限挑戦」に登場した「I Got C」は韓国の音楽プロデューサーとタレントが作詞作曲を手掛け、今週、各種音楽チャートを席巻した。だが、オランダ出身の歌手、カロ・エメラルドの「Liquid Lunch」に似ていると話題になった。

 これについて、「I Got C」を作曲した音楽プロデューサーは、曲を制作する過程で技術的に全く違う曲だと反発した。

 また、IUの「ピンクの靴」は海外アーティストNektaの「Here’s Us」に似ていると指摘された。

 IUの所属事務所は、「二つの曲はメロディーが似ているように聞こえるがコードが全く違う。楽器の編曲やメロディー構成などが完全に異なる歌だ」と説明した。

 ロイ・キムの「春春春」は韓国人インディーズミュージシャン、Acoustic Rainのデビューシングル曲に似ていると指摘されたが、ロイ・キムは盗作を否定した。

 一方、最近公開された故キム・ヒョンシクの未発表曲「渡船場に雨が降れば」(原題)は、米ロックバンド、ブレッドが1972年に発表した「Aubrey」とコードやメロディー、リズムが似ていると話題になり、レコード会社は似ている部分が多いと認めた。

 同社は「常識的に考えるとキム・ヒョンシクは盗作する意図はなかったはずだ。耳になじんだメロディーが自然に曲になったのだろう」と説明した。関係者と協議して著作権者の表記を修正しカバー曲として改めて発表するという。

◇無分別な疑惑の提起

 盗作疑惑が頻繁に提起されるようになったのはインターネットを通じ海外の曲に接する機会が多くなったことや、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を通じ疑惑が一瞬にして拡散するためだ。

 大衆の無分別な盗作疑惑の提起には、歌謡界に対する不信感が背景にある。

 あるレコード会社代表は、これまでイ・ヒョリやG-DRAGONなど多くの人気歌手が盗作疑惑をかけられたと指摘。そのため盗作曲ではないかという先入観を持って曲を視聴し少しでも似た部分があると疑惑を提起する風潮がまん延していると説明した。

 だが、こうした疑惑が実際に盗作だと判明したケースは少ない。

 今年1月にパク・チニョンが作曲した「Someday」が、キム・シンイルの「私の男に」(原題)の著作権を侵害したとして控訴審で5700万ウォン(527万円)の支払いを命じる判決が出たが、大部分は単なる疑惑に過ぎない。

 そのため歌謡界は無分別な疑惑の提起に心を痛めている。

 ある作曲家は「盗作という言葉を簡単に使うことが残念だ」と漏らした。その上で、大衆はメロディーや曲の雰囲気が似ているとすぐに盗作だと決め付けるが、曲の制作過程では良いメロディーを思いついても意図的に違うメロディーに変え盗作疑惑をかけられないようにしているケースもあると明かした。

 問題は簡単に盗作疑惑を提起するような風潮への対策が難しいことだ。1990年代までは販売される曲について公演倫理委員会が事前に審議し「2小節(8語)以上の音楽的パターンが似ている場合」、発売することができなかったが、99年に公演法が改正され事前に曲を審査する機関がなくなると関連規定も消滅した。

 その代わり、著作権者が裁判所に告訴した場合にのみ、実質的な類似性とアプローチなどに基づき盗作の真偽が判断されている状況だ。

 韓国音楽著作権協会理事で作曲家のファン・セジュン氏は、「問題は盗作ではないと判明しても、盗作作曲家という目で見られる事例が増えている点だ」と指摘した。

◇海外ではK-POPの無断盗用も増加

 一方、K-POPが海外で広く人気を集める中、韓国の曲を無断で使用する事例も増えている。歌だけでなく、ダンスの振り付けや衣装コンセプト、ミュージックビデオまでそのまま盗用されている。

 台湾のガールズグループ「SUPER 7」や中国の「アイドルガールズ」は少女時代に、カンボジアの「リンディンドン」はSHINee(シャイニー)に、タイの「CANDY MAFIA」は2NE1(トゥエニィワン)に酷似している。

 盗用された韓国の芸能事務所は法的措置に出るのが難しい状況だ。

 2NE1の所属事務所、YGエンターテインメントは、モニタリングを行い一部の歌手については改善を求めたが、著作権に対する意識が低い国もあると指摘。またアーティスト側に接触することも難しいと話した。

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