韓国最高の医学者とされる許浚(ホ・ジュン)は1613年に『東医宝鑑』という医書を編さんした。これは当時の韓方(韓国漢方)学を集大成した書籍で、実生活に役立つ医学の知識が豊富に掲載されている。『東医宝鑑』はアジアの医書としては初めて国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界記録遺産に登録され、その価値が認められた。
慶尚南道の山清郡で『東医宝鑑』刊行400周年を記念して9月6日から10月20日まで「2013山清世界伝統医薬エキスポ」(以下、「韓方エキスポ」)が開催された。同郡は許浚の恩師の生誕地で、『東医宝鑑』はもちろん、世界の伝統医学に関するさまざまな体験イベントが行われた。
エキスポで最も注目を集めたのは「東医宝鑑館」だ。エキスポ会場の中心に位置する東医宝鑑館は、体験イベントのための特別展示館。入場者は、長年にわたり製法が引き継がれてきた韓方薬の香りが漂う中、『東医宝鑑』や韓医学の基礎知識を学んだ。
東医宝鑑館の入り口にはろう人形展示室が設けられていた。実物そっくりに作られたろう人形で薬草をせんじたり、はりで病を治したりする様子が再現されており、数百年前の韓国の伝統医学療法がひと目で分かる。
ろう人形展示室の隣には、より深く詳しく医薬の知識を教えてくれるスペースがあった。ここには専門的ながら簡単に韓医学が学べるゲームや4D映像コンテンツが用意されていた。外国語サービスも整っており、外国人入場者も展示を楽んだ。
東医宝鑑館の前には色とりどりに飾られた彫刻公園も。山清で最も美しい景色9カ所の一つに挙げられているこの公園には、健康と長寿の象徴である全長20メートルの黄金の亀の像があり、絶好の記念撮影ポイントだ。公園内の柱には韓方薬の詳しい説明も書かれていた。
韓医学だけでなく、世界の伝統医学を紹介するコーナーもあった。「世界館」では21カ国の伝統医薬を展示、そのうち代表的な5カ国の医療体験もできた。注目はインドのオイル頭皮マッサージや、あまりなじみのないチベットの尿検査などで、貴重な体験ができた。
韓方エキスポではエキスポ期間終了後も会場を維持・運営していく。前に述べた彫刻公園や公園の風車展望台は観光客の散歩コースとして脚光を浴びている。特に、高さ18メートルに達する風車は夜に発光ダイオード(LED)ライトが点灯されムード満点だ。風車へ向かう道には各種ハーブが植えられているため、心身のリラックス効果もある。
詳しくは山清郡庁ホームページまたは電話で問い合わせを。