2010年、オーディション番組『スーパースターK2』(Mnet)で彗星のごとく現れたジョン・パク(本名パク・ソンギュ)。身長180センチでがっしりした体格、色白の顔に大きくて優しそうな瞳が女心をくすぐった。高学歴で流暢な英語、歌の実力まで併せ持ったジョン・パクは当時、オーディションで準優勝だったが、優勝したホ・ガクより注目された。「貴公子歌手」の誕生が予想されたが、今のジョン・パクのニックネームは「パボ(バカ)」。ジョン・パクは大きな目を見開き「僕も自分がテレビであんな表情をしているなんて知らなかった」と語った。
飾らない純朴さを武器に、8月だけで『無限挑戦』(MBC)、『ランニングマン』(SBS)、『ホドン&チャンミンの芸・体・能(イェチェヌン)~めざせ! ご当地スポーツ王~』(KBS第2)など地上波の人気バラエティー番組に多数出演したジョン・パクは「バラエティーの新星」として人気急上昇中。ジョン・パクがバラエティーで知名度を高めたのは、8月14日に終了した『放送の敵』(Mnet)。歌手イ・ジョクが「イ・ジョクのショー」を進行するという内容のフェイク・ドキュメンタリーで、ジョン・パクはイ・ジョクに従う純真で幼稚な、そそっかしいキャラクターを熱演した。
ジョン・パクはこの番組を通じて得たものが多いという。「カメラの前に立つのが楽になった。しょっちゅうおなしなことをしていたのでルックスへのこだわりがなくなったし。どこに行っても、自分の本来の姿を見せることができる自信を得た」と話す。その後出演したバラエティー番組でも、若干物足りないが優しくて純真なキャラクターの役割を果たしてきた。上の歯茎と前歯を見せて笑う姿は、ジョン・パクのトレードマークとなった。
『スーパースターK2』に出演していたころ、ジョン・パクは代表的なオムチナ(「母親の友達の息子」という意味の韓国語を省略した言葉で、ルックスも成績も優れた完璧な人のこと)だった。2010年12月、1stシングル「I\'m your man」、2012年2月にミニアルバム「Knock」をリリースしたが、残念ながらヒットには恵まれなかった。しかし「そう簡単にはいかないなと思った。すぐに成果を出そうと焦っていたら、大きな痛手を受けていただろう」と話し、落胆することはなかった。
オーディション番組の王子から、忘れられた歌手に、そしてバラエティーで売れっ子になるまで、大きな浮き沈みを経験したジョン・パクは今年6月、母親から「最近、大丈夫だよね?」という内容の携帯メールを受け取った。歌ではなく、コミカルなキャラクターのイメージがついてきたことに対する心配からだった。しかし、ジョン・パクは「歌手としての地固めをした後、バラエティーに飛び込むのがふさわしいだろうが、僕は歌手であり、常に最優先するのは音楽。自分がぶれなければ、順番がどうであれ、皆さんに気に入ってもらえると思っている」と語った。
ジョン・パクは自らを「ナマケモノ」と呼ぶ。「しつこく粘ったり、イライラしたりしないタイプ」だという。そんなジョン・パクを歌手ユ・ヒヨルは「ゆっくり歩んでいるが、独自のカラーを見せているミュージシャン」と評した。ジョン・パクは好きな平壌冷麺を週に4回以上食べ、いくら忙しくても1日5時間以上は必ず寝る。「今のように楽しく、やりたいことをしながら生きていきたい」と話すジョン・パクは、7月にリリースされた1stアルバムにボーナストラックとして収録された自作曲「Sipping My Life」の韓国語バージョンを今月末ごろリリースする計画。歌詞はこうだ。「自分の人生を一口ずつ飲みます/新しい一日のため、問題はビンの中に残しておきます/ほかの人たちが何と言おうと関係ありません」