全国「ご当地グルメツアー」が始まります。「ご当地」ならではの一品を出す店が集まっている通りや街を紹介していきたいと思います。第1回は大邱です。懐具合を気にせず味わえる、お手ごろ価格でボリュームたっぷりの料理を出す店が多い街です。西門市場ククス通り、アンジラン・コプチャン通り、別々クッパ通り、東仁洞辛カルビチム通りに行ってきました。
■西門市場ククス通り
大邱は全国で小麦粉の消費量が最も多い街だそうです。このことは、大邱で一番大きな在来市場・西門市場の「ククス通り」に行けば実感できます。ククスというのは韓国式のにゅうめんや汁うどんなどのこと。西門市場1地区と4地区の間にうどんやすいとんを売る露店が寄り集まっているのですが、どこもお客さんでいっぱいです。
ククス通りで商売を始めて32年という「元祖すいとん」のチェ・オクプンさん(65)は「1地区と4地区を結ぶ歩道橋の下で始めました。うちの息子が4歳のときでした」と話しました。その味や作り方は安東コンジン・ククスの影響を大きく受けているようです。麺の幅が広めで薄く、手でこねた生地を機械で麺を押し出すのではなく、5地域の製麺所で麺にしてもらいます。沸騰した湯の入った釜でゆで、煮干や昆布で取った澄んだつゆを注ぎます。慶尚道で「チョングジ」と呼ばれているニラと、「子白菜」などと呼ばれる、一見チンゲンサイのような白菜、すりゴマ、ノリをたっぷり載せて食べます。味付けはざく切りのネギに唐辛子を振り、しょうゆをお好みで。まずスープを一口、すすってみるととてもさっぱり。透き通るような麺は舌の上をするりと滑っていき、市場で売っているククスとは思えないほど繊細で洗練された味わいです。
チェさんは「ククスよりすいとんの方がずっとよく売れるよ」と教えてくれました。朝6時に店に来て、手で粉をこねます。生地を十分寝かせた午前8時ごろ、客が来始めます。すいとんをちぎり、うどんつゆにワカメや干しダラを入れて煮込んだ汁に放り込みます。ズッキーニ、ジャガイモなどと一緒によくかき混ぜて煮込み、すいとんに火が通って浮き上がってきたらできあがり。サッとすくってアルマイト製の丼にたっぷり盛ります。すいとんはツルツルでコシが強く、つゆは香り高くてさっぱり。小麦粉の生地の代わりにもち米の粉で作った白玉入りの「もち米すいとん」もなかなか。胃の調子が今ひとつというお年寄りもよく注文するそうです。
カルグクス(汁うどん)2500ウォン(約220円)、すいとん3000ウォン(約270円)、もち米すいとん4000ウォン(約350円)。そうめんに甘辛のコチュジャン(唐辛子みそ)のタレを載せたピビン麺4000ウォンもオススメ。定休日は日曜日。