今月23日、ソウル郊外の宿泊施設で死亡しているのが発見された人気ドラマ演出家、キム・ジョンハク氏の遺書に登場する「音盤(CD)業者」とは、ドラマのサウンドトラック制作会社の社長、A氏だ。A氏は昨年放送されたキム氏の遺作『シンイ-信義-』のサントラを制作したが「キム氏がサントラ制作で二重契約を結んだため金銭的な損失を被った」として捜査を要請し、検察の捜査が進められていた。検察は18日、3時間半にわたりキム氏とA氏の対質尋問(事件当事者の供述が一致しない場合、両者を相対させて言い分を聞く形の尋問)を行ったとされる。
タレントのマネジャーだったA氏は後にドラマのサントラ制作に転向し、昨年、キム氏が演出した『シンイ』のサントラを手掛けたが、ドラマ放送中の同年9月「ドラマの制作側が他社にもサントラの制作権を与える二重契約を結び、損失を被った」と主張し、論争を巻き起こした。キム氏は同ドラマの出演料未払い問題をめぐり警察の事情聴取を受けている最中にこの問題でも捜査を受けることになり、苦しんでいたという。
A氏はこれに対し、広報担当者を通じ「捜査を要請した対象はキム氏個人ではなく、サントラ制作契約の当事者だった『キム・ジョンハク・アンド・カンパニー』というドラマ制作・管理会社と、同社の社長を務める別の人だった」と釈明。「それにもかかわらず、まるで私がキム氏個人を問題視しているかのように捉えられ、途方に暮れている」と語った。