自殺した人気演出家、検察の捜査も受けていた

出演料の未払いなどをめぐり警察が捜査中

 今月23日に死亡しているのが発見された人気演出家キム・ジョンハク氏は、詐欺や横領の疑いで、ソウル中央地検ハイテク犯罪捜査2部から捜査を受けていた。キム氏はすでにドラマ『シンイ-信義-』(SBS)の出演料の未払いについて横領や背任、詐欺の疑いで告訴され、警察の捜査を受けていたが、検察の捜査の対象はその事件とは別の事件だったという。検察は「具体的な捜査の内容は、当事者が既に死亡しているため、確認するのは困難だ」と話している。

 検察はキム氏が死亡した23日、記者たちの携帯電話にメールを送り「キム氏は警察の二つの部署からも捜査を受けており、事業の失敗による生活苦も重なって、うつ病が悪化していたようだ」と説明した。

 検察のキム氏に対する捜査は、あるレーベル(音楽ソフト制作会社)による陳情書が発端になった。検察は23日「キム氏に対し数日前、被疑者として呼び出して事情聴取を行ったことがあったが、捜査に際しては最初から最後まで弁護士が立ち会っており、事情聴取も適法な形で行われた」と説明した。またキム氏が「強圧的な捜査を受け、逮捕状の審査の日程も延期してくれなかった」と主張していたことについても「捜査は適法な手続きによるものであり、また逮捕状の審査の日程は裁判所が決めたものだが、審査の30-40分前に電話をかけてきて、延期してくれと言われても、受け入れるのは困難だった」と釈明した。 キム氏の捜査を担当した検事は24日、本紙の電話取材に応じたが、強圧的な捜査の有無を問う質問には「お話しするのは困難だ。この問題は上の方と話してほしい」と答えた。

 ソウル中央地検ハイテク犯罪捜査2部のチョ・ジェヨン部長は「(強圧的な捜査は)全く事実ではない。キム氏が主張した『つじつまの合わない事実をつぎはぎしている』という件は、レーベルとの対質尋問(事件当事者の供述が一致しない場合、両者を相対させて言い分を聞く形の尋問)の際、キム氏が『なぜ突然被害者が現れるのか』と抗議したことを指すが、これは司法手続きを知らない一般人のため、誤解をしていたようだ」と説明した。また「(捜査員が最初の逮捕状審査の当日)キム氏の自宅を3回も訪問したというのは事実ではない。19日に逮捕状の審査を行うことになったにもかかわらず、キム氏が出廷しなかったため、拘引状の発行を受け(キム氏の自宅を)1回訪れただけだ。キム氏の家族が(本人が)家にいないと答えたため引き返した」と話した。

 なお、キム氏は検察の捜査とは別に、ドラマ『シンイ-信義-』(SBS)の出演料や、スタッフの賃金の未払いの問題をめぐり、背任や横領、詐欺の疑いで告訴され、警察の捜査を受けていた。

アン・ジュンヒョン記者
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