インタビュー:貪欲に突き進む40歳チョン・ウソン

インタビュー:貪欲に突き進む40歳チョン・ウソン

 1990年代最高の「青春スター」だったチョン・ウソン(40)は、剥製と化したアイコンも同然だった。現実の彼はすでに不惑の年だが、世間は彼を相変わらず青春の象徴であり、スターとして扱ってきた。26日、ソウル市鍾路区三清洞のカフェで会ったチョン・ウソンは、自分のことを指すとき、“僕”ではなく、“チョン・ウソン”という主語をたびたび使った。自分の名前自体が一つの固有名詞であり、アイコンだということを分かっている俳優のようだった。

 チョ・イソク、キム・ビョンソ監督の映画『監視者たち』(7月4日公開)で、チョン・ウソンは助演に近い悪役を演じた。緻密な計画のもとで動き、1秒の誤差も許さない犯罪組織のリーダー役だ。ターゲットの監視だけを専門的に担当する警察内の特殊組織である監視班を素材にした本作のあらすじは単純だ。しかし、無駄な感情消耗をせず、旧態依然とした設定を度外視したおかげで、映画は緊張感をキープする。劇中では、チョン・ウソンが演じたキャラクターの名前が出てこないため、エンドロールでやっと彼の名前がジェームスだということを確認できる。この映画はチョン・ウソンを“青春の象徴”や“スター”ではなく、違った見方で捉えなければならないということを見せてくれる。

-映画の主人公はハ・ユンジュ(ハン・ヒョジュ)のようだ。

 「ジェームスがどんな人物かによって、物語の緊張感が変わってくると思いました。緊張感の度合いが、まさに映画のスケール。この役を誰が演じるかによって、映画が大きく変わると思いました。モニタリングを依頼されたシナリオでしたが、読んでいくうちに、自分にすべきことがありそうだという感じがしました」

-セリフがほとんどないが。

 「途方に暮れましたね。でも、シナリオを読んだとき、本能的に懐かしさを感じる表情や話し方があったので、自分が感じたジェームスを表現しようと思いました。それから、僕が出演するからといって、ジェームスの比重が増えるのが嫌でした。そうなったら、このシナリオを初めて読んだときに感じた独特さがなくなると。演じるときも、頑張りすぎたり、いろいろ見せたりしようとしませんでした。だから、空虚感や“あの××は何?”という神秘さが表現されたんだと思います」

-今年でデビュー20年目。今まで演じてきた役を見ると、特定のイメージを払拭しようと努力したように思う。

 「それが演技に対する欲でした。チョン・ウソンのような俳優はアクション・ラブロマンスをもっとたくさんするべきでした。“チョン・ウソンはそれしかないじゃないか”という人もいますが、事実それだけでも十分なんです。ところが、ほかの俳優たちの演技、特に日常の演技を見ながら、ずっと欲を出していました。でも、あえてそうする必要はなかった。世間が求めているのは、チョン・ウソンならではの演技なんです」

-ほかに心残りなことは?

 「この20年を振り返ってみると、多くの作品に出演できなかったのが、一番心残り。自分に合うものだけを選んできました。そのうえ、スターだったので、当時は所属事務所が多くのシナリオを僕に見せることもせず、断っていました」

-今年40歳。今後、エネルギッシュに活動することはできそう?

 「高齢化社会じゃないですか(笑)。同世代の仲間が映画はもちろん、韓国の大衆文化を作り上げてきた主軸ではないかと。たぶん、彼らは一度握ったヘゲモニーを簡単に手放さず、ずっと引っ張っていこうとするでしょう。だから、これから僕ができる役割もたくさんあると思います」

ピョン・ヒウォン記者
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