子どもにスマホではなく本を! 昌原世界児童文学祭

 「手不釈巻(常に書物を持ち歩いて勉学にいそしむ、の意)」という四字成語は、今や昔の言葉となった。

 韓国文化体育観光部(省に相当)が発表した「2011年国民読書実態調査」によると、韓国国民のうち1年間に全く本を読まない人が33.2%に上った。読書をしない韓国社会の実態が浮き彫りになった格好だ。

 このように読書離れが進んだのは、スマートフォン(多機能携帯電話端末)の影響が最も大きい。幼いころから文字よりゲームや映像に慣れ親しんで育ったため、文章を読まなくなっているのだ。

スマートフォンで動画を見る子どもたち
▲ スマートフォンで動画を見る子どもたち

 ソウル市教育庁(教育委員会に相当)は今年4月、市内の小4、中1、高1の児童・生徒(全1304校、30万239人)を対象に、インターネットとスマートフォンの利用状況について調査したところ、全体の6.51%に当たる1万7448人がスマートフォンを利用し過ぎていることが分かった。

 スマートフォンなどのIT(情報技術)機器は中毒に陥りやすい上、子どもたちの読書習慣に悪影響を及ぼす。これは大きな問題だ。1カ月の平均読書量を尋ねる質問では、青少年全体の24.9%が「全く本を読まない」と答え、その理由として「本を読むのが嫌だ。読む習慣がない」などを挙げた。

 このように、正しい読書習慣を養い、子どもたちの想像力を育てる児童文学の教育的価値と必要性が高まっていることを受け、韓国国内の各自治体は児童文学をテーマにさまざまなイベントを開催している。

 中でも代表的なのが、慶尚南道昌原市で2年に1度開催されている「昌原世界児童文学フェスティバル」だ。

5月24日に昌原コンベンションセンターで行われた世界児童文学フェスティバルの開幕式で、昌原市の朴完洙市長が、絵本『長寿湯の仙女さま』の著者、ペク・ヒナさんに昌原児童文学賞を授賞した
▲ 5月24日に昌原コンベンションセンターで行われた世界児童文学フェスティバルの開幕式で、昌原市の朴完洙市長が、絵本『長寿湯の仙女さま』の著者、ペク・ヒナさんに昌原児童文学賞を授賞した

 このフェスティバルは「児童文学」を素材にした韓国初の総合フェスティバルで、今年は5月24日から3日間にわたり、昌原コンベンションセンターなど昌原市一帯で開催された。

 今年で2回目を迎えたこのフェスティバルは「童心、想像に出合う」をテーマに昌原市が主催し、昌原世界児童文学フェスティバル組織委員会と慶南児童文学会が主管した。

 初日の開幕式には、昌原市の朴完洙(パク・ワンス)市長、ペ・ジョンチョン市議会議長、キム・ジェスン慶南児童文学会会長をはじめ、市の関係者、文学関係者、芸術界の関係者ら120人余りが出席した。

 開幕式では、昌原児童文学賞の受賞作に選ばれた絵本『長寿湯の仙女さま』(ペク・ヒナ著)の授賞式も同時に行われた。

 また、今回のフェスティバルではペク・ヒナさんのほか『庭を出ためんどり』の著者ファン・ソンミさん、『タラ・ダンカン』の著者ソフィー・オドゥワン=マミコニアンさんら国内外の有名な絵本作家が一般市民向けに特別講演を行った。

世界児童文学フェスティバルの会場で「保護者の読書指導法」診断を受ける市民たち
▲ 世界児童文学フェスティバルの会場で「保護者の読書指導法」診断を受ける市民たち

 実際にスマートフォンの過度な使用を減らし、読書量を増やすためには、保護者の役割が最も大きいことが分かった。昨年、国立子ども青少年図書館が5-10歳の子どもを持つ保護者1000人を対象に、子どもの読書実態を調査した結果、「読書が好き」と答えた保護者は全体の40.8%で、その子どもは、実に81.6%が「読書が好き」と答えていた。

 一方、保護者が読書について「普通」または「好きではない」と答えたケースでは、子どもたちの読書好きの割合もそれぞれ48.0%、33.7%と低かった。子どもが本を読むようになるきっかけも、やはり「保護者による読書指導」が46.3%で最も多かった。

会場の中央に設置された読書コーナーで絵本を読む子ども
▲ 会場の中央に設置された読書コーナーで絵本を読む子ども

 一方、昌原市は韓国児童文学学会、韓国児童文学研究センターと共同で「第3回世界児童文学大会」の開催準備を進めている。

 14年8月に開催される「第3回世界児童文学大会」は、児童文学に関する国際規模の学術会議で、韓国をはじめ米国、中国、日本、スウェーデンなど16カ国の児童文学関係者およそ1300人が昌原を訪れ、研究発表や文化交流などを行う予定だ。

 昌原市のペ・ギョンミン文化観光課長は「昌原世界児童文学フォーラム、韓国児童文学者大会を通じ、世界の児童文学関係者の交流や連携についても模索する予定。今後は市と教育庁が力を合わせ『児童文学の首都、本を読む昌原』として発展できるよう最善を尽くしたい」と述べた。

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