インタビュー:ソン・ヘギョ「結婚?今は面倒」

インタビュー:ソン・ヘギョ「結婚?今は面倒」

 SBSドラマ『その冬、風が吹く』で視覚障害のあるヒロインを熱演し、人気を集めた女優ソン・ヘギョ。だがキャスティングについては初めからスムーズに進んだわけではない。脚本家のノ・ヒギョン氏が「あなたなら自信を持ってやり遂げられる」とソン・ヘギョを粘り強く説得し、ようやく『彼らが生きる世界』以来2度目のタッグを組むことになったのだ。そして、韓国を代表するトップ女優のうちどうしても「ソン・ヘギョ」にこだわったノ・ヒギョン氏の思いは、最終回まで視聴者の目を引き付けた。

 「たまたま通り掛かったときに、ノ先生が私の表情を見たらしい。そして、シニカルでいてデリケートな表情を『オ・ヨン』というキャラクターに溶け込ませて動いてほしい、と。だから、感情が表に出ないよう撮影前に準備を重ねた」

 4月3日夕方、ソウル・南山のあるカフェでソン・ヘギョのインタビューを行った。

 「普段は感情の起伏が激しいタイプではないが、このドラマの撮影期間は頭の中がめちゃくちゃだった。突然ドラマについて話したかと思うと、急に涙が流れたり、といった具合に。撮影のときはその瞬間がつらくて本当にイヤだったが、今はむしろあの時間が懐かしい」

 『その冬、風が吹く』でソン・ヘギョが演じたのは視覚障害のある女性、オ・ヨン。視野の中心部だけがかすかに点のように見え、周辺部の視覚は失っている視覚障害者の役で、ソン・ヘギョはこの演技が非常に大変だったと話した。6カ月の撮影期間を振り返ったソン・ヘギョは「撮影が終わっても気持ちが高ぶったままで、次の作品の撮影に入っても最初は大変なのでは」と心配になったという。そして、目を見詰めて演技することが、逆にぎこちなくなったとのことだ。

 だが、オ・ヨンという存在だけでこの作品が輝いているわけではない。オ・ヨンが愛した男(チョ・インソン)がいたからこそ、視聴者たちは二人の愛に熱狂したのだ。「私から見てもとてもお似合い(笑)。純情漫画に出てくるような感じというか。チョ・インソンさんはとにかく背が高いので、逆に私がとてもかわいらしく見えましたよ」。さらにソン・ヘギョは自らの演技を、チョ・インソン演じるオ・スの演技に照らし合わせ、完全に視聴者目線で「オ・ヨンを見詰める視線はこういう感じだったのか」と感嘆したという。

 テレビ界を舞台にしたストーリーで、緊迫感の中に早口と大声が飛び交っていたというドラマ『彼らが生きる世界』で演じたチュ・ジュニョンとは異なり、『その冬、風が吹く』では自然に感情が沈んでいったという。ソン・ヘギョは「第1話の直後が最も怖かった。でも視聴者の反応を見てとても気分がよかった。自分の演技を見て、上手くできたという思いよりも、あの場合はああすればよかった、という後悔や悔しさが心の中にいつもあった」と打ち明けた。

 また、華やかな映像美の中で画面に自分の顔が大写しになるクローズアップの演出について、ソン・ヘギョは「視覚障害者を表現するには限界がある。演じ切れない部分を表情で十分に伝える必要があったため、むしろそのような演出に感謝している」と語った。

 今年でデビュー17年。これまで多くの誤解やうわさに苦しめられながらも、それを乗り越えて堂々と韓国のトップ女優の仲間入りを果たしたソン・ヘギョが、後輩たちに言いたいことは「つらい日々も多いし、どうしても我慢しなければならない瞬間も多いと思うが、心から楽しんでほしい。演技も恋も頑張って…後になって後悔するのはほかでもない自分だし、その部分を誰も補ってはくれないから」

 次はロマンチックコメディーに出演したいというソン・ヘギョ。恋愛と結婚、その分かれ道については「いつかは(結婚)したいが、今の状況では面倒」とバッサリ切り捨てた。『その冬、風が吹く』を通してソン・ヘギョが得たものは果たして何だったのか。道を歩いていて実際に視覚障害者に会うと「道を案内したい」「手助けしたい」と思うようになったという。オ・ヨンとしてではなく、ソン・ヘギョ本人の温かい気持ちがインタビューの最後を飾った。

インタビュー:ソン・ヘギョ「結婚?今は面倒」

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ソン・ジンヒ記者
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