バラエティー番組がリアルさを追求するならば、そのリアルさは100%でなければならないのか。あるいはある程度の誇張や縮小は容認されるべきなのか。SBSテレビの人気リアリティー番組『ジャングルの法則』に「やらせ疑惑」が浮上したことについて、同番組の制作陣がこのほど「誇張はあったが、やらせはなかった」と釈明したことをきっかけとして、番組のリアルさをめぐる論争が高まっている。
『ジャングルの法則』は最近「アマゾン編」でタレントのキム・ビョンマンらが先住民ワオラニ族を訪ねる企画を放送した。しかし、ワオラニ族の多くは既に近代化した生活を送っており、部族体験の一部は観光商品として開発されたもので、誰でも容易に参加できるという点の説明がなかった。さらに字幕で「ワオラニ族はアマゾン最後の戦士部族」と紹介したことが問題視された。「バヌアツ編」では、誰でも容易に訪れることができる洞窟や火山を危険な場所として「過剰描写」したことが論争をエスカレートさせた。制作陣は「バラエティー的な感覚を強調したことが誤りだった」と釈明したが、視聴者からは「番組の命である真実性が崩壊した」との意見が根強い。
バラエティー番組のやらせ疑惑は今回が初めてではない。2010年に終了した『ファミリーがやってきた』(SBS)は、表情や行動などに関する「ト書き」やせりふが書かれた台本が公開され問題になった。出演者が釣り上げたマダイは制作陣が事前に放流したものではないかという指摘も受けた。
『1泊2日』(KBS)は出演者がドライブインで商品を購入する際に実際の価格の半額しか支払わなかったとされる疑惑。恋愛バラエティーの『チャク(韓国語でペアの意)』(SBS)は「行き過ぎた編集で一般出演者の悪い部分だけを強調した」と指摘された。外国でも同様で、自然界のさまざまな状況でのサバイバルを描いた米国のバラエティー番組『サバイバルゲーム』(ディスカバリーチャンネル)も過剰演出、やらせの疑惑が指摘された。
ケーブルテレビ向けチャンネル、tvNのチーフプロデューサー、イ・ミョンハン氏は「リアルさを追求するバラエティー番組とはいっても、すべてをリアルな状況で引っ張るわけにはいかない」と話す。イ氏によれば、番組内容のうち、出演者の行き先、環境設定など構想部分が20-30%あり、リアルな部分は70-80%だという。イ氏は「出演者が活動する場面をお膳立てするのは問題かもしれないが、リアクションや具体的な行動やせりふまで指示はしていないので、リアルさが認められるべきだ」と反論した。
リアルさをめぐる論争を避けるための方策として、『パパ、どこ行くの』(MBC)のディレクター、キム・ユゴン氏は「制作陣が構成、設定した部分を視聴者が感じ取れるようにすべきだ。わざと隠して演出するのは視聴者をだます行為だ。そういう場面は不自然ですぐにぼろが出る」と話した。
淑明女子大メディア学部のシム・ジェウン教授は「番組のロケを行う際に最初のフィルタリング過程を経て、編集時には演出者の意図に沿って画面が選択されるため、100%のリアルさというのはもともとあり得ない。とはいえ、バラエティー的な面白みを出すために観光地を厳しく危険な環境として描いたり、字幕で誇張したりするのは視聴者をだます行為だ」と批判した。
大衆文化評論家のチョン・ドクヒョン氏は「『ジャングルの法則』の場合は、面白さよりもドキュメンタリー的な要素を前面に掲げ、字幕などで真実を強調しており、視聴者はそれを本物だと信じたはずだ。やらせ論争を避けるためには事前に字幕で告知するなど、番組が面白さのために誇張されることがあり得ると明らかにすべきだ」と主張した。